■ 44話/再会の言葉は何処。
ふ、襖が壊れてしまいました。
「やっと、見つけた」
外れた襖にも目もくれずに私達を見下ろしたのは、赤い羽根のあの人でした。
「ほ…鳳凰さん」
「貴様は…あの時の真庭の忍…」
あれ、知り合いですか?と言う暇もなく瞬間的に薄刀を手にし鞘に手を掛ける。
ぴりぴりした空気が肌を刺激する、鳳凰さんはググッと眉間に皺を寄せているし。
「邪魔だ…席を外せ」
「もう拙者は決して貴様に花子殿を渡すつもりはないでござる」
首を横に振る白兵さんは私の前から退こうとしない。なんだか、話についていけないんですが…。
「あ、あの…2人共、お知り合いでしたか?」
するとパチクリと瞬きをする鳳凰と目が合いくすりと笑われた。ああ、そうか…と。
「花子殿は気を失っていたからな」
「虚刀流の所為で忘れていたが…花子殿、此奴に何もされなかったでござるか!?」
くくくっと喉を鳴らして笑う鳳凰さんと目が合い頬が熱くなる。うう、そうだ。せせせ接吻をされたんでした…
「花子殿?……貴様、何を」
「まったく可愛い反応をする、顔が真っ赤だぞ花子殿。錆にそんな顔を見せるな…」
−−−っ!!
一瞬で距離を詰めた彼に驚き声も出ない。白兵さんは刀を抜き、また鳳凰さんも苦無でソレを受け止めている。
「花子殿には指一本触れさせぬ…」
「もう既に、指一本では済んではいないがなあ…」
ミシミシと二人の圧力に負け始めた部屋が悲鳴をあげ始めている。これはマズいと私は自身の刀で二人の間に入った。
本当に無謀な事をしてしまったと後悔しながら二人に笑いかける。
「部屋が壊れます。白兵さんもらしくないですよ、熱くなって…ほら武器をしまいましょう」
そう言えば少し間の後、鳳凰さんから苦無を懐に閉まい、次に白兵さんが刀を収めてくれる。ほっと息を吐き二人を交互に見れば睨み合う二人の間のぴりぴりとした空気は健在でとりあえず座りませんかと座布団を敷けそこに腰を下ろす二人。
うーん、うーん、一体どうしたものか。
とりあえず、この二人は険悪な訳でそれを私はどうしようも出来ない事はなんとなく分かりました。むすっと胡座をかいて肘を起き手の上に顎を乗せる鳳凰さんに何故か笑いが込み上げそうになるが堪える。
「白兵さん私は大丈夫ですから、少し二人にしてくれませんか」
そう言えば少し眉にぐぐっとシワが寄ったものの、花子殿がそう望むのならばと腰を上げて 病み上がり故に花子殿に触れたら殺すとドスの聞いた声を鳳凰さんに掛けて壊れた扉から外へ出て行った。
きっと白兵さんの事だから聞こえる所にはいないんだろうな。きっと茶屋に行って気を紛らわして茶屋の娘さんにきゃあきゃあ言われてそれで素知らぬ天然さでときめかせて、それでそれで。
「誰の事を考えている」
ムスっとした顔がブスッとなる。あれ?あんまり変わらないかな。
とりあえず、久しぶり見る顔に微笑みちょいちょいと呼べば、意外に驚いた顔をして顔を上げる。
近くに寄って来た鳳凰さんはなんだか嬉しそうで、私も微笑んだ。
ぱっちーん!!
「な、何をする…くくく、これで二度目だな、花子殿に頬を叩かれたのは」
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