■ 35話/あらら救済、完結。
「分かりました、でも私もう一つ行かなければならない所が増えてしまったので…」
ちぇっと舌を鳴らす蝶蝶さんはそれでもいそいそとゲーム台を片付け始めた。
「花子さん…」
ピタリとくっ付いたままの蜜蜂くんは悲しそうで、頬は少し腫れていた。
私は手を添えて蜜蜂くんを身体から離した。
「ごめんなさい、行かなきゃいけないんです」
そう、あの人が死んでしまってからでは遅いから。私は急がなくては行けないの。
蟷螂さんが口を開く蜜蜂くんを制止する。
「最初から察してはいたが何か大事な理由があるんだろう、黙って行かせてやるんだ蜜蜂」
やはり男、紳士。蜜蜂くんは分かりました、とため息を付きへらっと笑った。
蝶蝶さんはまだゲーム台を片付けている。
そりゃそうだ、三日分あるのですからね。
「では、私行きますね…」
「花子さん!」
「おいっ……」
何か言おうとする蜜蜂くんを止める蟷螂さんに彼は首を降る。そうじゃないんです、と。
「花子さん、道中気を付けて下さい…貴方が元気で居てくれれば、僕は満足ですから」
まったく、と蜜蜂くんの頭をぐしゃぐしゃ撫でながらゲームをまだ片付けている蝶蝶さんを連れてくる。
なんだかんだあったけれど、結局この人たちは良い人に変わりは無かった。大きく振られる手を一所懸命に振りかえし、先に歩き出す。
またどこかで会いましょう。
さて、白兵さんを探さなくては…
〆
三人がやっと着いた不承島。
蟷螂は怪訝な顔をして二人の前に立つ。岩の上に置かれた紅の玉にはひびもはいっていなければ、ホコリ一つも付いていない。
「いない、この島の何処にも虚刀流の姉の姿はない…」
「「え?」」
その頃、とっくに島を出た七花の姉、鑢七実は最終奥義に欠点がある事を弟に教えるべく足を運んでいたのであった。
「七花ったら今どこにいるのかしら…」
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