■ 01話/残念です。
これ程までに大変な事だとは思いもしませんでした。
乾風に髪をなびかせ、空を見上げる。生前の父上の姿を思い浮かべ、常に言い聞かされていた事を思い出す。
床に伏せる父上、私を撫ぜる手。
「花子、私が死に1人になったらこの家を出、旅に出るのだ。そして、沢山友達を作りなさい。後は良き伴侶もな。」
「はい、父上。」
産まれた時に母も死に、流儀を全て叩き込まれた後に父も死に、私は父上から教わった剣一つ…まぁ色々準備はしていたのだが耳かきやら着物の変えやら。でも、ソレを言ったら格好が付かないじゃないですか。
「ああ、父上母上。」
昨日までは5人友達が居たのです、父上。本当です。ですが、やれ金品を寄越せだのやれ女だグヘグヘなどとても汚らしい事を言い出すし、刀を向けてきたので殺してしまいました。
ああ、血はちゃんと落としました。汚らしい方の血なんて大切な刀に付けたくなかったのだけれど。
友だちは選ばなければいけないと言う事なのでしょうか。でも、先ほどのような汚らしい友達はもういりません。
何処かに私とお友達になって下さる方は居ないのでしょうか。
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