■ 29話/斬刀、鈍 中編。

えええええ!?

ななな何でこんなにこの人はずいずい来るんだろう、何か私は悪い事を言っただろうか?ああ!さっき失礼な事を言うなと言われたのだった、それをまだ怒っているのかしらっ。

「引きずりすぎじゃ…」

「それで怒ってんじゃねぇよ」

お前といると疲れるわとまた溜息。
うう、ごめんなさい、と俯けばポスッと暖かくて大きな手が頭に乗る。

「でも、嫌いじゃねぇ」

ぐしゃぐしゃされた髪の毛の隙間から顔を除けば仏頂面のその顔を切な気に微笑ませていて、何だか私は胸がキュウキュウと締め付けられて余り良い気持ちはしなかった。

「そんで?」

「え?何の話でしたっけ?」

「はぁ…求婚されたっつってたろうが」

そうでした、そうでした。

「断りましたよ」

ふぅんと別に興味なさげに聞いているが口角がだいぶ上がってきている銀閣はそうかそうか、その歳で変なのに捕まったら後がねぇからなぁと至極楽しそうだ。

「それはもう、強引な方で有無を言わせない感じでしたから、きっと色々な女性にあんな事言い慣れているんです。女慣れしていそうな方でしたから、私はきっぱり断りました。わたしはどちらかと言ったら銀閣さんみたいな誠実で男らしい男の人がタイプなんです、もうっあんな人と比べたら銀閣さむぐっ!!」

その時、私は口を手で抑えられた。
抑えてきた本人を見れば口元をもう片方の手で抑え、見える所は真っ赤っか。

「それ以上言ったら犯すぞてめえ」

「………………」





さっきのは忘れろと強く言われたが、あんな珍しい姿を忘れるだなんて出来る訳がないじゃないですか。永久保存ですよ、言ったらまた怒られますから言いませんが。



「それで、刀を触らせて欲しいんだったか」


「そうです、完全に話が逸れていましたが、本題はこっちなんです」


スッと腰から刀を外した銀閣さんは此方にすんなりと渡してくれた。


「柄や鍔、鞘が真っ黒な刀…これが斬刀.鈍ですか」

一見、普通の私が持つ刀と大差ないのだが…



ドクン!


ああ、やはり毒がこの刀にも…

ドクン!ドクンッ!


「おい…おい!花子っ!」

「ぐっ…はぁっ…ぁ……」


この刀は少し前の刀よりも毒が強いようだ。
息がしづらい上に喉が熱い、焼けていくようだ。大丈夫、これが過ぎたら何ともないのだから。



ガタン、


「ちっ…こんな時に……」


「フッフッフ、よどけだし話いしかず恥ものてっるい入らか襖と々堂が者忍」

「かえねたかしは合場のこ、ぁま」

「ぜうらもてせら乗名」



「だ鷺白庭真、人一が領頭二十軍忍庭真は俺」

「などけだんーつっ鷺白のり喋さ逆、称通」



意識が朦朧とする中、ふっふっふっふっふと変な呪文を長々と唱え続けている白い人が立っていた。


「ふっふっふ?あかたし魔邪?なんお」




「ああ、お邪魔だな。早々と消えて貰うとするかね」




______________



銀閣さんは倒れる私の持つ斬刀を奪い立ち上がった。


「何だ?この感じは………」



(comment*☆.)


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