■ 24話/絶刀、鉋!
「よぉ!久しぶりだなぁ、花子!」
堂々と後ろから話掛けてきた男に目をぱちくりさせる。蝙蝠さんだ。久しぶりにきゃはきゃはを聞き嬉しくなり懐に飛び込んだ。
「んなっ!?−−っおい離れろ!」
「お久しぶりですっ」
元気してましたか、何してたんですか、お腹はすいてませんか、うどん食べますかなどと怒濤の質問を浴びせ蝙蝠さんは目をくるくる回していた。
「ま、まぁ積もる話あるがよ、少しばかり落ち着こうぜ」
「はいっ、はいっ」
きょろきょろ辺りを見回し、誰か居たかと聞かれる。実はちょっとばかし困った事になりましてと伝えた。
「ほーお、そりゃ面白い。」
腹を抱えて笑われてしまった。
「きゃはきゃは!あの鳳凰さんがなっ、っくは!腹がよじれそうだぜ」
「ちょっとぉ!笑い過ぎ「笑い過ぎだ、蝙蝠」」
背筋が凍った。
私と蝙蝠さんは音が聞こえているのではないかという程に固まりその方向に首を動かせない。
「ななななななんでいんだよ」
「ななななななんでいるんですか」
はぁっと大袈裟に溜め息をつかれ首をコテンと横に傾げた。
「友達なのだろう?会いたくなったから会いに来たのだが」
こんな所でまさか蝙蝠といるとはな…とどす黒い笑い方をするので蝙蝠さんは冷や汗がたらたらだ。
しかし、私たちは負ません。
蝙蝠さんがいち早く突っ込みました。
ずびしっ!
「そうかぁ会いにねぇ…って早くね!!?」
そんな突っ込みも聞こえてないかのようにいそいそと私の隣に寄りピタリとくっ付いた。
こここれは何のつもりでしょう。
私はぎょっと横にいる人物を見上げるがまったく表情を変えない。
「蝙蝠、仕事はどうした、道草を食っている場合ではないぞ」
「…ん?ああ、これからだぜ?そうじゃなきゃあ、花子に会いに来れてねぇってーの」
きゃはきゃはは!
「……呼び捨て、だと?」
「うっ……」
一言で蝙蝠さんを黙らせてしまう辺りやはり頭領、と言ったところか。
しかし蝙蝠さんは私の初めてのお友達、この人は何を調子に乗っているのでしょうか。別れて直ぐに現れた為に酷く驚いてしまったが、長の立場を利用して脅すとは…
「鳳凰さん、蝙蝠さんは私の初めてのお友達、里の付き合いは長いのでしょうが私にとっても大切なのです、蝙蝠さん!私に敬称などいりませんよ」
うっとり、といった表情で言うと、では我もと言ってきたので素早く却下した。
「何故だ」
「仲は別に宜しくはありませんから」
眉を寄せ何か言いたげであったが、目の前で物凄く腹を抱えて笑っている蝙蝠さんをとても圧迫している事は分かった。
「そういえば、刀とは…四季崎の?」
「んあ?何で知ってんだ?あーあ成る程!鳳凰から聞いたんだろ、そうだぜ四季崎記紀の変体刀!まぁ、俺達の敵になる訳でもねぇし、言っちゃっても良いだろ、大丈夫だよなぁ?」
ああ、本当懐かしい、この喋り方。つらつらと述べて鳳凰に問うとコクリと頷いた鳳凰が口を開く。
「簡単に説明すると、時代の流れで滅びかかっている真庭の里を救うために我等はその刀を集めている訳だ」
「聞こえよく言うと、だけどな。きゃはきゃは!そして、これがまず一本!!」
ぬるぬるぬるーっと口の中から取り出した刀を手にする蝙蝠はすげぇだろーこれ!と見せびらかしているが腹の中に収まっていた事自体が凄くて刀にまで目がいかなかった。
しかし、べっちゃべちゃですね。それ。
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