■ 20話/ぼんやり記憶。
「つ、強すぎませんか…?」
では尋常にと言った所であったがやはり叶う筈もなく、もはや遊ばれているのではと悔しくなる。
「なんだ、終いか?」
凄んだ手前、名も通らない流派の私に勝てるとは思っていなかった。しかし、この人をここで逃したらお友達の命が危ないと判断した。私よりも強いお友達を心配するなんて失礼かもしれませんが。
引けなかったのです。はい、そうですかなんて言えなかった。また会いたい早く会いたい…
「いえ、まだです」
私は荒ぶる呼吸を整える。
この流派は血を見てこそ、力を発揮するもの。では、参りましょうか。
「山田流…紅空」
ぶしゅっ、私の腕から血が滴り落ちる。刀の刃先で肉を裂いたのだ。今の私では到底切れる相手ではなく、こうするしか手立ては無かった。
血だ、赤くて美しい血。
「、!?自身の腕を斬ったか。なるほど目の色が…それがお主の強さの秘密か、面白い」
見せて頂こう、そう笑うその先には血に塗れた刀と己の血に狂喜する花子が立っていた。
______________
「貴方の血なら、この刀も喜びます」
「さて、どうかな…」
[
prev /
next ]