■ 18話/危険区域に入りそう。
ぱくぱくと団子を次々に胃袋の中に流し入れる彼は、私にとがめさんを思いださせた。こんなに甘い物を何皿も食べれるなんてと口を開けたまま固まってしまう。
美味しいですけど、こんなに食べて気持ち悪くならないものなのでしょうか。
「ん、ああ。我が団子を好きな事に驚いているのか?」
串もペロリと食べてしまった。
「我の好物でな、勿論可愛いらしい女性も好きなのだけれども」
微笑まれた、これこそ垂らしだ。以前、白兵さんに言ってしまった事を謝りたいと節に思った。
「冗談だ」
「いえ、心からの声に聞こえましたが」
うん、この人なら女の人を両肩にはべらしていても絵になります。むしろ、実はそうなのではないでしょうかと心の中で思った。
「まぁ、話は変わるが花子は刀集めにかかわっているのか?」
お主が奇策士殿と接触した所まで情報が入っているのだがと団子を片手に私の顔を覗き込む。
何故、そこまで私の情報を調べているのでしょうか。刀集め、敵対しているのか、はたまたとがめさんと共に集めているのか。
「鋭いな、実に良い直感をしている」
声に出してはいないのに何を考えているのか手に取られてしまった。呆気に取られているとまぁまぁと団子を手に持たされた。
我が里に来れば、良い跡継ぎを残してくれそうなのだがなぁと心にもない事を言う。すんなりと言いますね、きっと言い慣れているのでしょう。父がいう"ぷれいぼーい"とはやはりこの男だわ。
「刀集めには一切関わっていませんよ、私は弱いですから」
ふむ、とひと呼吸置き残りの団子をペロリと胃に収めて立ち上がる。
「腰に付けている物は飾り、それともお主は剣士という誇りを捨てるか。弱い、などという剣士などいない」
錆 白兵を魅了したその剣、我にも見せて頂く。
その瞬間、じゃらりと小銭を席に置き私は空を舞った。いや、抱えられていると言った方が正しいのでしょうか。びゅん、と風を裂く音が聞こえる。木々が素早く通り過ぎて行き、私は息をのんだ。
胸に顔が近く、相手の鼓動が聞こえる。こんな時なのに人の心臓の音を聞いていたく耳を押し当てる私は何を考えているのか自分でも分かりませんでした。
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"この娘、無自覚か?成る程、皆が心を奪われる訳だ。我も気を付けなければ、かな?"
"何ですか、この胸のドキドキは。危険、この男性は危険です"
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