■ 15話/小指を立ててお願いします。
「そうか、なら仕方あるまい」
「すいません」
「お主なら…いや、やめておこう」
今更言ってもしょうがない、と肩を下げるとがめさんに心苦しくなる。私としては友達の頼みならば聞いてあげたいし、共に旅するなど誠に嬉しい事なのだけれど。
「お主の友達が刀を持っている、と言うのは誠の事なのであろうな」
私は頷く。先に会った蝙蝠さん、銀閣さん、白兵さん。あの四季崎の刀の氣は隠すに足らず、漏れ出ていたものだから見た事がない私であれ気付いた。
銀閣さんと、白兵さんは剣士だから腰につけていたけれどその氣を見て気付いた。蝙蝠さんの腹からも異様な氣が見えていた。故に、あの人もきっと持っていたはず。
「友達全員か」
「友達全員…です」
きっとこの方は誰が持っているのか知っているのであろう、私は溜息をつく。ああ、友達がいなくなっていくのは嫌です。そうだ、この人も友達。
「友達としてお願いがあります」
なんだ、と顔をあげるとがめ。どうしようか、こういうお願いは有効に働くのであろうか。
「一人も殺さないで頂きたいのです」
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「私の友達を殺したら、私が貴方とその刀になった者を殺しにいきます」
殺せるか分かりませんが死んでも死んでも呪い殺します、と口にした。剣士として呪うなどあるまじき言葉なのですが。
「…ならばお主が私の刀として戦えば良いのではないか?」
「きっと勝てません、友達と喧嘩するのは嫌です。そして、まだ自由気ままに旅を続けていたい」
「我儘め」
そうか、これが我儘と言うのですか。自分のやりたい事の主張をするなんて…
「私、初めて言いました」
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「私も其方には死んで欲しくはない。」
「では…」
「先程の話だが、善処しよう。」
私達は"ゆびきりげんまん"というものを初めて交わした。正直やり方があっているのか分からないが、しっかりと交わした事になっていなくても、このとがめという人物は信じても良いのだと私は不思議と思えたのだ。
「嘘ついたらこーろすっ指切った」
「………。」
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