■ 13話/初めてです。
「大丈夫でしたか?」
下賤な輩に絡まれていた目の前にいる方を助けた私は、行き先が同じという事もあり、途中まで道を同じくしていた。
尾張幕府…なんだったか、でも総監督という位置の、奇策士とがめさんと言うらしい。
凄い人じゃないか、無事で良かった。
奇策士が苗字かと思ったが違うらしい。
髪が白く美しく長い女性だ、これこそ女性と言った格好をしており私よりも背も小さくそれはそれは可愛らしい風貌をしていた。
「ああ!花子のおかげで傷一つないぞ!礼を言う。」
いえいえ、と言う私にそういえばと話を切り出す。何故、女の花子が刀を持っておるのだ、と。
深く関わった相手にはやはり金太郎飴の如く話をしなければならないのであった。
女が刀を持つなどやはり珍しい事なのだなと、感じた。
「ふむふむ。花子の御実家は代々剣客であったか、なるほど強い訳だ!」
へー、ふーんと頭の先から爪先まで眺められよし!と声をあげる。
何を思い付いたのだろう、嫌な予感しかしない。
手を引っ張られ着いた場所は反物屋であった。
「あの、私そんな予算は…」
白兵さんのお陰で手に入れたお金はあるけれど、何泊か泊まるうちに徐々に少なくなってしまっていた為、繋がれたとがめさんの手にもう片方の手を添えすみませんと断った。
「何を言っておる、私は幕府の使いだぞ。金なぞ余る程あるのだ、私のお金じゃないのだから気にする必要などない!」
いや…あの…人のお金。
胸を張って言う事ではないのではと思いながら悩んでいるとずいっと顔が近づいてきた。
「初めて出来た友達なのだぁぁぁ、一緒に買い物したりお茶したり女子らしい事がしたいと思うのはいけない事かぁぁ?」
ねぇねぇと涙を溜めずいずいと押されている。
この人も私と同じだったのかと、じわじわ友達と言われた嬉しさが込み上げてきた。
「友達ですか?私たち…」
「いけないか?私と其方とはとても気が合うと思うのだが…」
駄目か?駄目なのか?と覗き込んでくる少女の様なとがめさんに顔が綻ぶ。
「いえ、とても嬉しいんです。」
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「花子にはこれなんかどうだ?落ち着いた淡い色合いがとても似合うと思うのだが。」
とても可愛い色ですねと言うと、そうであろう?そうであろう?と喜び私にはどれが似合うと嬉しそうに生地を私に見せる。
女の友達とは、今までとはまた違った感じでとても楽しく時を過ごした。
「じゃあ、これとそれとあれとこれとあれをくれ!」
…え、そんなに?
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