■ 09話/嗚々、逆に…。

ああ、まただ。
何故こうもまた、私は毎度毎度似たような輩にカツアゲをされるの。

「よぉ、ねぇちゃんこんな所に1人で何処に行く最中なんだい?ゲヘゲヘ」

うっ…今回は、人数が少し多いな。町も近いのに何故、特に行く所を言わなくても良いだろうと思い無視に決め込む。
刀を無理に染める事もない。
加えて町はもう目の前なのだ。

「おいおい、グフフ」
「上玉じゃねぇか、刀は形見か何かかぁ?」
「おじちゃん達によこしなぁ」

思い思いに言葉を発する顔も声も汚い男達を通り過ぎると不意に脂ぎった手で、肩を掴まれた。うわっ…と固まる。
さ、触られた、なんかベトベトしてるし気持ちが悪いです…

銀閣さんに言われた事を思い出す。

"良いんじゃねぇのか、殺したって。俺達は剣士だ。"

スルリと刀を抜けば男達が笑いだす、もう同じようなパターンを何度繰り返した事か。

「やめといた方がいいよぉ、お姉ちゃん」
「怪我するよぉ、グフフ」

手始めに、私の肩に乗る腕を一本頂く。
ぼとりと落ちる腕に一白置いて気づく男の姿に笑いが漏れる。

「ひっ、コイツ!何しやがった!」

腕を抑えながら仲間の元へ逃げ惑う、そうだ。今日は腕を全部取ってしまおうか、良い考えです。そうすれば悪い事ももう一生出来ませんね。

男の肩から噴き出す血の色に身体がゾクゾクする。

ああ、早く早く悪い事をする腕なんか斬ってしまいましょう。

呟いた言葉が聞こえたのか皆、尻餅をつき動けないでいる。ふふふ、座って居たら斬るのが楽ちんじゃないですか、逃げなくていいんですか。

そう言って微笑み刀を振り上げると、何処からか声が聞こえてきた。

「その山賊、懸賞が掛けられている。生きたまま捕まえ、町に持って行くのが良いでござる。」

ふと、我に返る。

ああ、汚い。刀が血で濡れてしまった。

刀を鞘に納め、腰を抜かしている男たちの背後に回り首の後ろを思い切り鞘に収めた刀で殴打していく。機から見たら、金槌を振り下ろす様に似ていて笑えるだろう。
明らかに首後ろが赤く腫れ上がり痛そうだが、まだ両手が無くなるよりはマシだろう。

そこでふと気付く。

縛ったはいいが、どうしましょう。

こんな大人数運べません…



ザッと音が聞こえる方を見ると白銀の髪色の総髪で綺麗な顔立ちの子が立っていた。
男性…でしょうか?

「拙者、名を錆白兵と申す。
見事だった、拙者が町まで手伝おう。」

この声は先ほどの懸賞がついている事を教えてくれた…

お礼を言おうと一歩踏み出すとその突然の出来事に身体が硬直する。さっき気絶させた男をビンタし無理矢理起こす彼が居た。

「あ、あの…何して…」

最後の男の頭を踏みつけながら此方を見る。

「こうした方が早いで御座ろう。ほら、殺されたくなければ自分達のまだ付いている足でで歩け。それともその足、いらなかったか?」

そう縄を持ち、幾人もいる男達を移動させる姿は居ような光景でしかなかった。



___________

「と、ところでお主の名は?」

拙者にときめいて貰うでござる!などと消して口にはすまい。


(comment*☆.)


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