■ 07話/急げ急げ砂漠城。

隣に座り、幾ばくかお喋り。

歳は私よりも一回り以上離れているとか、蝙蝠さんにも話した私の旅の理由や今までの事。
それを話したらまた笑われた、十八になる女が嫁がずに剣士挙句に友達づくりの旅だと?と腹を抱えて笑うのだ。
まったく、何がおかしいんですか!と怒り、もう友達が一人いるんですよと胸を張る。

「そうか、そりゃ良かったな。そういやお前料理は出来るのか?」

「はい。父と二人で暮らしていましたから私の仕事でしたよ。」

それが何か?と言うと下の調理場で何か作ってくれと目を瞑る。それが、礼で良いと。
野菜や食べ物は買いに行っているらしい、そりゃそうだ。ずっとここから動かなかったら死んでしまう。

了承し、腰をあげると後ろから美味いもんを頼むぞと聞こえてきた。

「お城に住む人には、口に合わないかもしれませんよ?」

と襖をまたガタガタ言わせながら閉めた、襖の奥から俺には充分だという言葉と自嘲するような薄笑いが聞こえた。

ずっと一人でいる事の寂しさを私は知っている、父が床に伏せた時はもう外に出る時や剣の修行などはもう一人だったのだ。
そして父が死に、本当に一人に。その寂しさを心配した父が死ぬ前に私へ外に出る理由をくれたのだった。
言っても、思い出が沢山ある我が家を離れられずに居たのだ。誰も訪れない、話さない、毎日が変わらない静かな日常であった。
雨の日は尚更、しとしとと時が経つのを待つばかり。
外に出るのは怖かったが、その寂しさに耐えられずに荷物をもって飛び出したのだ。

ああ、あの人はこの城から離れられないのだろうか、どうしても、どうしても。



調理場につき、有り合わせの物で味噌汁や惣菜、米を釜で炊いた。私はその途中で閃き、蒔きに水を撒き火を止めて城の外へ飛び出した。

砂漠は走りずらい、でも本当に良い事を思い着いたのだ。




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ああ、早く早く。

町が見えた、こんなに走ったのは幼少の頃以来だ。早く早く、買って帰らねば。



(comment*☆.)


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