■ 05話/暑い暑い、暑いです。
からからからから。
喉が乾きました。
こんな所に砂漠があったのかと物珍しさに歩いていると見事に迷ってしまった。景色も何もないのだ、当たり前と言えば当たり前か。
「暑い、暑い、暑いのは苦手です。」
カラカラした暑さと、水分不足で幻覚まで見えて来たのか。目の前にはお城。
ああ、父上。三月半でもう会いに行く娘をお許し下さい。あ、でもお友達は一人出来たのです、とても優しい…忍者の方…
そこで私は意識を途絶えたのだった。
………………ここは?
寝ていたのか目を覚ますと立派な部屋の布団に寝かされていた。
腰に刀がない事に気づいた私は素早く立ち上がり周囲を見回す。何処ですか、ここは…
枕元に刀があり、少し安心するがそうもいかない。腰にさし障子を開け外の様子を伺う。人の気配がない、よく見れは広く何処となくさびれた建物であった。
まぁ、私が住んでいた家に比べたらとても広く良い所なのは間違いないのだが。
刀に手をかけ、辺りを見回しながら奥に進んだり階段を登ったり。
助けて頂いたのなら、せめてお礼をと思ったのだが、なんせ怖がり。床の軋む音にもたまにビクッとしながらも先に進む。
「寝息…?」
やっと人の気配がしたと思ったら、変な字の書いてある襖の奥から寝息が聞こえてくるのであった。
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ガタガタガタ…開きません。
ガタガタガタガタ…開きません。
なんと、建て付けが悪いことか。
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