イケナイ関係中編 | ナノ


▼ 3.辛くて少し無理。



ぐるぐる頭の中で昨日の真庭が揺らめいている。授業も頭に入って来ないし、まぁいつもの事なのかも知れないけど今日は特別。特別頭に入らない。

「はぁ…」

ため息ばかりが出て来て、まるでこれって…いやいやいやいや!!まさか、そんな訳ない!あんな奴の事なんか。



−−5年前の事。


「あれー?おばさん今日はお兄ちゃんはいないの?」

「花子ちゃん!ごめんねぇ、最近忙しいみたいで帰りが遅いのよ」

「ふーん…」

私が中学生の時、多分お兄ちゃんは大学生だったと思う。高校生になるまでは、ちゃんと私と遊んでくれたりしていたのにいつからか、お兄ちゃんは学校から帰ってくる時その隣に知らない女の人を連れて来ていた。

「あれ?お兄ちゃん、その人だれ?」

「友達だよ」

そんな嘘、小さい内しか通用しないよお兄ちゃん。
家の私の部屋の隣はお兄ちゃんの家の部屋。ある日、変な音が聞こえきた。音と声。甲高い声でお兄ちゃんの名前を呼んで…何をしているのかなんて直ぐに分かった。

私が中学になればその行為は頻繁になって、窓を覗けばこの前とは違う人、見る度見る度知らない人と一緒にいる。

きっと私は幼い頃からお兄ちゃんが大好きだった。けど、私はその頃から…お兄ちゃんを軽蔑したんだ。

「花子、高校受かったんだってな…おめでとう」

「うん…」

「ああ、そういえば我もそこに就職が決まったんだ。よろしくな」

「学校では、話し掛けないでね」


その日、そんな事を言ってしまった後悔で部屋に帰って直ぐに泣いてしまった。割り切らなきゃいけない。お兄ちゃんは私をそういう対象では見ていなかったんだ、だから色々な人と付き合っていた。お兄ちゃんはその人達が好きだったのよ。

お兄ちゃんは一人暮らしをすると言う事で隣の家からも引越しをした。きっと女と遊び放題なんだろうな、教師がそれでいいの?女子高生にまで手出さないでしょうね、まぁ私には関係無いけど。こんな嫌味な性格になってしまったって訳。
お兄ちゃんの所為で男に不信感も抱くようになった。告白だってたまにされるけど全て断ってる。「男の人なんて信じられないから」なんて言葉が口癖のようになってしまった。だから未だに処女、友達には勿体ないやらなんやかんや言われるけれど中途半端な男となんてまっぴらごめんだ。

そして時は過ぎ私も高校三年生になった。

早く終わらないかな、なんて考えていたらあっという間に放課後になってしまっていた。私以外残っていない教室で夕焼けに染まる運動場をしばらくの間ぼーっと眺めていればだんだんと暗くなって来てしまった。そろそろ帰ろうかなと立ち上がればガラガラと扉が開く音がして、きっと担任の左右田先生だろうと思い無理やり笑顔を作る。

「ごめんなさい、今…!」

扉に立っていたのは私の悩みの種の真庭鳳凰その人だった。私は何を言ったら良いのか見つからずバックを持ちアタフタしていた。きっと機から見たら変な行動だろうけど頭が真っ白だったんだからしょうがない。

「どーした?」

「え、いやっ…何でもないよ、帰る」

そう、やっと言葉にしたものの真庭はそのまま扉を閉じ教室の中を私の方へ歩いて来た。

「へ?あ、な!なに!?」

「花子、もしかして…」

私の頬に手を伸ばしてくる真庭の行動に耐え切れなくなりバックを握りしめ教室を飛び出した。

な、何であんな事っ!!


「意識、しているのか?…可愛いな、本当に……」



−−ドンッ!!

「すまな、い…山田か?」

顔を上げれば直ぐそこに好きな人な筈だった…左右田先生の顔があった。



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