イケナイ関係中編 | ナノ


▼ 2.この苦味は一体どこから。



ぴんぽーん。

家のチャイムが鳴る。私は出たくないから部屋でまぁ優雅にポテチを頂きながら漫画を読んでいる訳だが、またチャイムが鳴った。お母さん手離せないのかなーまったく…トントンと階段を降りてはーいと返事をすれば会いたくない人の声がして顔をしかめる。

「おかえりくださーい」

「ひどいな、土産に花子の好きな月見屋の水饅頭を買ってきてやったというのに」

まぁ、そういうなら仕方がない…と声が聞こえたので直ぐ様、扉を開けて腕を掴んだ。水饅頭食べたい。

「いらっしゃい!」

「うん、我は素直な子が好きだぞ」

うっ、このスマイルは何とかならないのか…たらしめ。その爽やかな笑顔から顔を背けていればリビングの方からやっとお母さんが足音を立ててやって来た。

「あらあらあら!鳳凰くん久しぶりねぇ!」

「ご無沙汰しています、おばさん。いつ見てもお綺麗ですね。後これつまらないものですがお土産です」

「やだ鳳凰くんたら!」

「あはは」

何この会話。私、部屋に戻っても良いかなあ、なんて考えていたら上がって上がってと真庭を家の中に招き入れ、それに驚いていればお母さんが私の手を引っ張って無理やりリビングに押し込んだ。

目が点になる。

それからグダグダと話をし始めたので私は少し離れた所で水饅頭を頂くことにした。
うーん、絶妙。このあんこも堪らないっと食べる事に集中しようとしているのだがやはり耳には色々な話が入ってきてしまう。

「鳳凰くん、結婚の予定とかはあるの?そんなに格好良ければ幾らでも相手はいるでしょう?」

胸がドキッと鳴る。なんで今更…別に真庭が誰と結婚しようが構わないじゃないか。私が好きなのは左右田先生なんだから!

「それが全然。好きな人には相手にもされてないんですよ」

そ、そうなんだ。意外だな、好きな人がいたらどんな手でも使って口説き落としそうなのに…

「あら意外ね!うちの花子も彼氏を家に連れてきた事もなくてねぇ」

「ほう…そうなんですか」

な、何を私の事を話しているのとお母さんの言葉にドギマギしていれば真庭がニヤニヤとこちらを見ていた。うう、恥ずかしい。きっと心の中で私をバカにしているんだ。

「鳳凰くんが花子をお嫁に貰ってくれれば良いのになぁ」

「私なんかで良いんですか?なら遠慮せずに頂きますが」

……ぶわぁぁっと顔が熱くなりその原因をすぐさま見れば面白そうにクスクスと笑っているし、お母さんといえば真庭の手を握ってよろしくね!なんて言っている。

「二人ともふざけないでよっ、私には好きな人がちゃんといるんだからね!」

ベーッと舌を出し部屋を後にする。

「じゃあ、わたしもこれで。また来ますね」


後を追いかける用に部屋の外へ出た鳳凰は階段を上がる花子を見上げた。

「花子、我が好きだと言ったらどうする?」

「……教育委員会に訴えます」

そう言えば、そうかと眉にシワを寄せて笑った真庭はじゃあなと言い背中を向けて隣の家に帰って行った。

私も自分の部屋に入って扉を閉める。
どどど動揺した。な、何であんな事言うの?バクバク心臓が鳴っている、静まれ、静まれ心臓。

そっと窓から外を見る、まだ外にいるかな…いた。玄関を開けるところだった真庭はわたしの視線に気が付いたのか此方を見た。

うわっ、私は直ぐに隠れてベットに倒れこんでもがいた。こんな事したら意識してると思われる馬鹿にされるからかわれて本気にしてるなんて思われたくないっ!!しばらくの間、ベットの上で足をばたつかせていたらお母さんから苦情が来たので不貞腐れてそのまま寝たんだけど、次の日起きたらなんだか変な夢を見たみたいで泣いていた。


(ひどい、ひどいよ、お兄ちゃん…)






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