■ 白雪姫<パロ

魔女→否定姫
手下→左右田 右衛門左衛門
魔法の鏡→真庭 鳳凰
小人1→蝙蝠 小人2→川獺
小人3→喰鮫 小人4→蝶蝶
小人5→蜜蜂 小人6→蟷螂
小人7→人鳥

王子様→錆 白兵




昔々、美に取りつかれた魔女がいました。
魔女はこう言いました。

「ねぇねぇ、魔法の鏡ちゃん、この世で一番美しいのはだあれ?」

すると鏡はその問いにこう答えました。

「ふむ、この世の中で一番美しいのは白雪姫という姫だ」

「ふぅん、なかなか言うじゃないの。でも、私はそれを否定するわあ。右衛門左衛門」

「はっ…」

指を鳴らすと手下が何故か屋根裏から降りて来た。自分が一番だと思っていた魔女は怒り狂い手下に白雪姫を殺すように命じます。

「右衛門左衛門、この鏡に写っている白雪姫という生意気な女を殺してきてちょうだい。」

白雪姫はその頃森で動物たちを遊んでいました。しかし後ろに忍び寄る魔女の手下の剣。
白雪姫は恐怖のあまり叫びます。

「きゃああああ!!」

その恐怖に染まる姫の顔を見た手下は、こんな美しい人を殺すだなんて出来ない。そう思い大粒の涙を落しました。

「不殺。白雪姫、私はあなたを殺せない」

そうです、魔女の鏡を見たその瞬間、手下はその白雪姫の美貌に一目惚れしてしまったのです。

「魔女があなたを殺そうとしている、早く逃げなさい。出来るだけ遠くへ。」

「でもっ、私を殺さなかったら貴方はっ?」

「私は魔女からは離れる事は出来ない、貴方を守る事は出来ないが逃がす事は出来る。早く走れ、遠くに」と伝えます。

それを聞き必死に走る白雪姫。森の中をさまよい力尽きるまで走りました。

「はぁ…はぁっ……どこまで逃げて来たのかしら?」

そうして力尽いた所に、森の動物たちが現れました。

「どこか休める場所は無いでしょうか」

小鳥たちが、リスたちが、狐たちが白雪姫を森の奥へといざないます。
少し走っては、疲れている白雪姫を振り返り、走っては振り返りを繰り返しました。

「あ、あれは…」

そこには一軒の小屋がありました。

よかった、これで休めると思った白雪姫。しかし中は汚れていました。

「とても、汚いわ…」

蜘蛛の巣だらけ、埃だらけ、洗濯物はたまって。白雪姫は森の動物たちと協力して掃除をしました。

「ふぅ、少しは綺麗になったかしら…これでゆっくり眠れるわ」

夕方になるころには見違えるほどにきれいになった小屋でぐっすりと眠った白雪姫でした。

その頃、小屋から離れた炭鉱で7人の小人が仕事をしていました。その中でリーダー格の小人は時計を見ると、もう帰る時間だと言います。

「おい、そろそろ帰ろう。こんな時間だ」

「早く帰らないと暗くなってしまいますね、蟷螂さん」

「腹が減ったな、蜜蜂。今日の夕飯はなんだなんだ?」

「こんな炭鉱じゃあ日が暮れたのかもわかんねえなあ、きゃはきゃは」

「とりあえず、片付けちゃおうぜ」

「あの、あのっ、シャベルは各自で持って下さいねっ。今日はジャンケンとかはやめて下さいっ」

「良いですね、良いですね、では今日は殺し合いなんてどうですか?」

そして、各自で仕事道具を持ちハイホーの掛け声とともにみんなで家に帰ります。

ハイホー、ハイホー、仕事が好き〜♪

小人たちが家に着いたころ、あたりは真っ暗。しかし小人はいつもとは違う小屋に気付きました。

「なんか、綺麗になってますよね」
「え!あっあの、泥棒、ではないみたいですけど」
「きゃはきゃは、いーじゃねぇか。」
「楽出来たしなっ!」
「しかし、蟷螂殿…」
「誰かが侵入した事には代わりがない…な」

「ならば、私が探して殺しましょうか!良いですね良い「黙れ」」

人の気配がする。
不安と戸惑いを持ちながら調べてみると寝室に可愛い可愛い女の子が眠っているではありませんか。
女の子といっても160センチほどの白雪姫に対し小人たちはみんな100センチ前後程。小人たちは口々に化け物だ!!と驚きます。

「うおっ!超デカいぜ!?」
「しかし、可愛いですねえ、いやっそういう意味じゃないですよ!」

きゃはきゃはと笑う、その騒ぎに起きた白雪姫は今までの事情を話しました。

「良いですね良いですね、是非その魔女さんにお会いしたいものです」

「喰鮫殿の事は放って置いてくれ、それにしても酷い話だな、どうする?蟷螂殿」

「仕方ないだろう」

そうこうして白雪姫はここで暮らして行くことにしました。


その頃魔女は手下を牢屋へ入れ、魔法の研究をしていました。

どうすれば白雪姫を殺せるかしら。

あれからしばらくたち小人と白雪姫はとても平和な生活を送っていました。
小人たちが仕事に行くときに7人みんなのおでこにキスをし送ります。
ある者は顔を赤く、ある者はふいと顔を背け、色んな表情が白雪姫を癒していきました。

そして白雪姫はみんなが疲れて帰ってくることを考えおいしいぜんざいを作ります。
小鳥たちの声と白雪姫の歌声が森に響きます。

「ついに出来たわあ」

そんなころ魔女はついに、自分の姿を老婆に変える薬と毒りんごを完成させ自分の部屋を出ます。

途中の牢屋には以前白雪姫に涙を流した手下の右衛門左衛門がいた。

「あんたはもうそこから出してあげなーい、分かってるわよねえ。白雪姫に心を奪われるなんて許されないんだから」

「……御意」

「一生その中で白雪姫を好きになってしまった自分を否定して生きるのね」

その牢屋の鍵をぎりぎり取れない距離の右衛門左衛門の目の前に捨てながら森へ向かいました。

お昼になり白雪姫は家事をしていると目の前に現れた老婆。
森の動物たちは邪悪な気配に老婆に襲いかかりますがそれを見た白雪姫は老婆をかばい小屋の中へ入れ、水を一杯差し出しました。

「大丈夫ですか?」

「ええ、ありがとう、助かったわあ」

それを、しめた!!と思った老婆は持っていた毒りんごをお礼にと白雪姫に与え食べさせた。

「もぐもぐ…っ…うう!」と白雪姫の呼吸が止まり倒れてしまいました。

その後小屋を出た老婆はそそくさと逃げます。

「あはは、やったやったわあ!これでこの世で一番美しいのはあ、た、し!きゃはははは!」

しかしそれを見ていた動物たちは、それを小人たちに伝えに行きます。

「なっ!なんだって!?急ぎましょう!」

小人は家に帰るとそこには倒れて息も無い白雪姫がいました。

「嘘だろ…白雪姫…」

「白雪姫っ白雪姫っ!うわああん!!」

「冗談きついぜ、きゃはきゃは」

揺すっても声を掛けても白雪姫は起きません。泣いても、泣いても。

「魔女を探して殺しましょう」

「この時ばかりは喰鮫の意見に私も賛成だ」


小人たちは動物たちとともに魔女を追いかけついに崖の上に追い込みました。
崖の上から魔女はそこにあった岩を小人たちに落とそうとしました。

「来ないでよっ!これを喰らいなさい、そんな姿じゃあ、一溜まりもないわよねえ!」


しかし天が許しません。雷が魔女の足場を壊し魔女は崖そこに落ちました。


「きゃああああ!許さないっ許さないわよ!」




小人は小屋に帰ると棺に白雪姫を入れ、悲しんでいると白馬の王子が現れました。

「そんなに泣いてどうしたのでござるか」

小人達は口々にこう言いました。

「あ、あのその、白雪姫が魔女に毒リンゴを食べさせられて」

「死んじゃったんだぜ」

「………ぐ、通りすがりの王子には関係のない事、お帰り下さい」

「何言ってるんですか!蟷螂さんセリフが…いや、でも」

「しょうがねえなあ、王子っ白雪姫に口付けを!口付けをすれば目を覚ます筈だ」

「何を根拠にって感じだけどな」

「良いですね、良いですね、さあ盛大にキッッスをーー!」

小人の話を聞きながら棺桶の中を覗きこむととても美しい姫に息をのみました。

「なんと美しい姫だ…承知」



ちゅっ、


白雪姫にキスをすると白雪姫は目を覚ましました。

「し、白雪姫、拙者といいい一緒に…」




そして王子と一緒に白馬に乗りお城へ向かい幸せに幸せに暮らしましたとさ。

めでたしめでたし。






白雪姫を最後まで読んで頂きありがとうございました。本当の白雪姫はもっとグロテスクな話だとかで驚きました。王子様は死体愛好者らしいですね(笑)そしてどこへ行くにも白雪姫を持ち歩いて棺桶を落とした衝撃で喉のリンゴが取れて助かった、という話らしいです。怖い怖い!(ーー;)

私は魔女の手下とくっついて欲しくて仕方がありませんでした。涙を流して逃がしてくれた手下は牢屋の中で白雪姫の事を考え過ごして居たのでしょうね。

左右田右衛門左衛門の番外編白雪姫落ちや舞台裏をみたい方はコメントお願いします。需要が多ければ書こうと思います。

題材/童話/白雪姫
2013.07.10


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