■ 女々しくて云々。
どうしよう、そわそわする。落ち着かない、とりあえず手汗が凄いから袴で拭くとして、まだ花子さんは帰ってこないのだろうか。彼女の入っている記録の地平線のギルドの前をうろうろしているとシロエ先輩や直継先輩が心配して声を掛けて来てくれた。優しい。
「せ、先輩」
「どうしたの、そんな真面目な顔して」
「花子さんが疲れて帰ってくると思ったのでギルドの女の子達に教えてもらいながらお菓子を作ったんですけど今になって貰ってくれるのか不安になってきました。先輩どうしよう、これ食べて貰えますか?こ、断られたらショックで立ち直れる自身があり、ありません!!」
「ヤンデレか?ヤンデレ祭りなのか?」
「違うよ直継、自分はモテるけど自分に興味が無さげな人を好きになってしまったお決まりのパターンだ。つまり、嫌味」
もうシロ先輩達が何を言っているのかも分からなくなってきた。頭の中がぐるぐる回っているとポンっと肩に手が置かれた。
「よっ」
「きゃあああああ」
花子さんが立っていた。変な声を出してしまった、かっこよく「お疲れ様です、花子さんいつも素敵ですね。あっ、これつまらないものですけど」なんてサラッと渡すつもりだったのに!!
「ん?なにそれ、ソウジの持ってんのいい匂いがする」
くんくんと匂いを嗅ぐ花子さんに顔が熱くなる。近い近い近い、顔に汚れが付いていても気にしないワイルド過ぎる。ここは「ついてるぞっ☆」なんてウインクしながら拭ってあげるべきなのだろうけど身体が言う事を聞いてくれない。動け僕の身体!
「あ、の…これ!作って…」
「手作り!?ソウジそんな事も出来んのね、いいお嫁さんになりそうだよね、シロ」
「あ、うん」
「食べてもいいの?お腹空いちゃって…あ、直継にはあげないからね」
「あ、うん」
「あ〜うまい。私の所ならいつでも空けておくからお嫁においでよソウジ」
「〜☆○※▲□っ!?」
「え、なに、どうしたの?」
「花子、声にならない程嬉しいんだよ。それくらいにしといてあげよう」
ぼ、僕をお嫁さんにって言った、言ったよね!?ど、どうしよう、今から僕は花子さんの為に花嫁修行をしなくちゃ。とりあえずギルドを解散してどこか花嫁修行を目的とする集まりに入ろう、そうだ、そうしよう。まずは何から習うべきだろう。やっぱり料理かな、エプロンつけて「おかえりなさいっ、ご飯にする?お風呂にする?それとも…ぼ、く?」なんて、会話をするようになるのかうわあああああ。
「あ、居た。ごめん花子さんちょっとこの馬鹿借りてくね」
意識を取り戻せばナズナが僕を俵担ぎしていた。なんて格好だ。実に無様じゃないか。僕は両手で顔を隠す。
「ごめんわたしが引き止めちゃったんだ。怒らないであげて、ナズナ」
な、ナズナ!?なんでここに、どこに行くか伝えないで来たのに…な、なんでそんな目で見るの。
「花子さん、まじで男前。ファンクラブ入ろうかなあたしも」
なんだって、ナズナも入るのか?それよりもまだ入っていない事に驚いた、男女比率は同じくらいでファンの数は軽くこの町の人口を越えていると言うのにっ。とりあえず会員番号32番の僕が色々教えてあげなきゃ。
「ナズナ!」
「はいはい、口にナス突っ込むよ。とりあえず帰るからねアホ」
こんなソウジを郊外に知られちゃったらギルド崩壊だよ、なんてぶつぶつ言うナズナがめんどくさそうに頭を掻いている。
僕は別にバレても支障はないんだけどな。
とりあえず担がれているお腹が痛くなって来たから下ろしてもらう事にしよう。後はギルドに帰る前に緩んだ顔をどうしかしないと。
「ナズナ、下ろして」
「ソウジ?」
ふぅ〜っと肺に溜まった空気を吐きだし新鮮な空気を取り込む。
僕はソウジロウ=セタ。
西風の旅団、ギルドマスターだ。
「さぁ、行こう。面倒を掛けたね」
「ソウジ…」
その威厳ある雰囲気、そしてソウジロウスマイルに周りの女子は振り返るのである。
きゅうん、と胸を締め付けられるような感覚にナズナは安心感を覚えるのであった。
「はぁ、どうしたもんかな〜…(明日はどうしようかな、ギルドにいるんだったら通りがかった設定で「あ、奇遇ですね」なんて片手をあげて微笑む。そして花子さんは「ソウジ、好き!」なんて抱き付いてきたりなんかして、うん。これでいこう、そうしよう。うわーまた緊張してきちゃったなぁ)」
(ギルド見つめて難しい顔してどうしたんだろう、ソウジのやつ。昨日、報告を受けた事に対して考えてるのかな。まったく…)
「ソウジ、余り一人で考えすぎんなよ?」
「え?あ、うん。ありがとうナズナ」
2014.03.09
乙女思考ソウジロウが男前夢主に猛アタックをすると言うフリリクでした。ひぃぁぁぁ、とりあえずソウジロウファンの方、申し訳ありません。凄い変態気味になってしまいました。ただ、悔いはありません。何故ならこんな感じでネジが少し外れちゃったキャラ崩壊が大好物だからでございます。本当これ書いてる間楽しかった、ソウジロウ落ちてこないかな。では、ここまで読んで下さった方々に深く感謝を込めてお礼申し上げます。ありがとうございました!!
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