■ アイザックとソウジくん。
「西風の旅団だっけか?ひょろっちい女共ばっかりで頼りねぇな」
「ふふ、力だけが全てじゃありませんから。そちらのギルドは逆に逞しい男の方達だらけでむさ苦しくありませんか?」
「むさ…っ生憎、女には困ってないんでね」
「それにしてはアイザックさんは強面だからモテそうにないですね」
「はっ!訊いて驚くなよ、最近じゃあ週に二度は互いの家で酒を呑むし近所のコンビニでジャンプを立ち読みしに行く仲だ」
「……それって、まさか」
「その、まさかだ。どうだ?羨ましいだろう」
「ぼ、僕なんかいつもソウジロウ君ソウジロウ君好き好きって抱きつかれますし、僕もですよって返せば顔を真っ赤にしてます。僕にしか見れないですよね?羨ましいでしょう」
「…なんだと。うら…じゃねぇ。そんなのまだゲームの中の花子にじゃねぇか!俺なんか現実世界で醤油を借りに行く仲だぜ!」
「そ、そんなの戻れたなら直ぐに出来ますし。というか、僕の花子さんに馴れ馴れしく近寄らないで下さい!」
「十代のくせに生意気抜かすなよ?良い事教えてやろうか…俺等は一人暮らし同士だ」
「な、な、なっ…」
「一人暮らしで尚且つ近所だ」
「う…」
「そして通うコンビニも一緒だ」
「く…」
『ソウジロウくーん!あ、デカザックもいる…ん?どうしたの、ソウジロウくん』
「う…う…花子さんは僕の事が好きなんですよね、この人よりも好きですよね」
『どうしたのそんな小動物みたいに…大好きだよ!とりあえずその後ろのデカブツなんかと比べたら雲泥の差だよ!』
「安心しました、花子さん…ギュッてして良いですか?」
−−きゅうん。
『え、な…はい』
「おい、なんでそんなしおらしくなってんだよ。気持ち悪いぞ」
『黙れお前の秘密をギルド前で叫ぶぞ』
「駄目です、あんなむさ苦しいギルドなんかに言ったら可愛い花子さんの事だから厭らしい目で見られるでしょう」
−−ぎゅう。
『ぅ…ソウジロウくんいい匂い。このまま死んでも良い』
−−にやり。
その時アイザックに向けられた、噂に訊く西風の旅団のソウジロウからは想像も出来ないほど黒い笑みを花子に必死に訴えたところでそんな事あるわけないだろ!と人蹴りされてしまうのでした。
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