■ そんな訳で。
「そういう訳で告白して今に至るな」
大きな暴露を軽々と話した俺の顔を鳩が豆鉄砲を喰らったような顔をして見ている山田の小さな鼻をつまむ。
「あの時、告白して良かった。俺の元に来てくれてありがとう」
小さくそう言えば、ビー玉のようにキラキラとしたまん丸の目に涙の膜を張ってポロポロと泣き出した。
「どっ、どうした?」
昔と変わらず泣かれるのは苦手だと近くにあったティッシュを引き出し山田の顔に当てた。
「お、思い出しました…うっすら…だけどっ、う…先生だったんですね」
思い出したという言葉に嬉しくなり抱き締めた。
「今日はらしくもなく沢山話をしたから疲れた……」
そう肩に顔をうずめて目をつむれば柔らかい髪の感触とシャンプーのいい香りが鼻を擽った。
自分の部屋に山田がいるだなんて夢のようだな。
「ずっと一緒にいてくれ」
「はい」
「俺は意外と嫉妬深いぞ」
「はい」
「好きだ」
「私もです、先生」
耳元で囁くとそれに対して愛しい返事が帰ってくる、これはいつ何度か聞いても飽きそうにない声だなと思い髪を撫でた。
顔を覗き込めば顔を赤らめ、瞳を逸らす。
睫毛が長く震えて、綺麗だ。
「もうすぐ卒業だろう?…そしたら、抱きたい」
(えっ、え!あ、でも…私なら別に今でも)
(…俺にも少しなり背徳感と言うものがあるんだ)
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