■ ほら、運命だった。



そして、そんな事も頭の隅へ追いやって高校大学も卒業、俺は世界史の教師として高校へ赴任した。

勉強は好きだった、子供の相手はやはり苦手ではあったが高校の時の迷子との交流のおかげでもあるのかものを教え成長していく子供たちの姿を見るのは微笑ましくも思えた。

そして、赴任した時に同期に同じ高校を卒業した者がいるとは聞いていたが、まさか真庭鳳凰だとは思わなかった。やつは昔から人から好かれていたが生徒達にも人気があった。廊下を歩けば声を掛けられ人のいい笑みをする。友達のように手を振られ、名前を呼ばれる。

まぁ、俺とは正反対な教師だと思う。

あの日、俺は今年の一年にあの男の親戚が入っていると言う噂を耳にした。それは、厄介だと心の隅で思った。もしも鳳凰に性格が似ていたらと思うと頭が痛い。高校の時の鳳凰はとてもとても手におえた生徒ではなかった、生徒会として何度走らされたものか。思い出しただけで吐きそうだ。

しかし、そのような派手な以前の真庭鳳凰のような生徒はいなかった、噂は耐えず聞いていたが鳳凰とは苗字が違うと言うし…

その日は放課後とくに仕事が長引くわけでもなく久々に早く帰れる事になった。何故か懐かしく思いあの公園の中に入ると高校生の時にによく座っていたベンチには先約がいた。残念だとその奥のベンチに座ろうと近づいて行けばふとその制服がうちの物だと気づいた。

まぁ、下を向いているし気づかないだろうと前を通り過ぎようとすると、その面影に少し覚えがあった。らしくもなく口角が上がる。

ああ、そうか本当の兄弟ではなく君は親戚の子だったんだな。通りで似てなかったはずだ。

俺はなにも言わずにその隣のベンチへ座り鞄から取り出した本を読む。

「…ぶ…ぜん…つ…の所為だ」

ぶつぶつ聞こえてくる少女の声。一体何を言っているのだろうと耳を自然と傾けていれば「真庭鳳凰の所為だ」とか「何で私がこんな目に合わなきゃいけない」と思いつめた言葉の数々だった。噂を聞いていれば大体の検討がついた。上級生の圧力を受けていると言ったところだろう。

不解。
しかし、おかしいな。

あいつに相談をすれば解決するだろう、何故一人悩んでいるのか。

「よしっ!頑張る!あんなのに負けないんだから…………ばかーーーー!!」

俺に気づいていないのか大きな声で叫ぶと公園の出口の方に走り出した。揺れる髪を見えなくなるまで無意識に見送った。

君は覚えているだろうか、不要。
言う必要はない、これが一般的に言われている運命と物なれば自分から言う事でもない。

そしてあの頃あんなに仲良く手をつないでいた二人が同じ学校に教師と生徒でいる。

むしろ、そちらの方が運命だと自嘲気味に笑い夕暮れ掛かる本へ目を移した。

「でも…嬉しいもんだな」





(感想ぶちまける。)

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