■ わたしが選んだのは左右田先生。
私が好きなのは…左右田先生だ。
私がツラい時は頭をぽんぽんと叩いてくれて、あまり笑わないその人はたまに私の前でだけ笑ってくれた。
本当は学校の外にきっと付き合っている人がいるだろうと好き好きとアピールしながらも思っていた。
いや、きっと"だから"出来たのかもしれない。叶わない恋だと分かっていたから好き好きと言えたのだ。
だけど昨日、左右田先生は私の事が好きだと言ってくれた。
「本当に…左右田先生は私の事が好きなのかな」
あの様子からして冗談とは言えない。けど、未だに信じられない気持ちでいっぱいだった。
今日は土曜日。あの後、制服のポケットへ手を突っ込んだら紙切れが入っていてそこには携帯番号が書かれていた。メールアドレスが書かれていないのが左右田先生らしいなと笑みが溢れる。
……電話、してみようかな。
少しドキドキしながらも番号を打ち携帯の通話ボタンを押す。ープルル…
ー
……もしもし
左右田先生の声が聞こえる。休みの日にまで先生の声が聞けるだなんてと少し感動した。
「あの…山田です」
「ー!…電話、嬉しいよ」
「先生、わ…私やっぱり先生が…」
「少し待ってくれ…迎えに行くからどこか分かりやすい所に居てくれないか」
「じゃあ−−」
私が指定したのは家の近くにある公園だった。この辺で公園と言ったらそこしかないし分かりやすいと思ってそこにしたのだけれど、左右田先生は少し驚いたような声で「思い出したのか?」と言ったが直ぐに「そんな訳ないな、直ぐ行く」と言って通話が切れた。
「思い出したのか?」とは何なのだろう…
(待ちわびた声に手が震えた)
(携帯が当たる頬が熱い)
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