■ フリリク 丸様 錆白兵
もしも、もしもだよ。
私が男だったらどうする?と彼に訪ねてみたらどうだろう、どんな反応をするだろう。それとも本気にして、今の今まで騙していたのかと怒ってしまうだろうか。それでも私を好きだと言ってくれるだろうか?後者だったらそれはそれで少しやだ、男ともやれるという彼を想像したくない。
ん、元はと言えば私は何をしたいのだろう。ああ、そうだ。ただ単に、彼に私を選んで一番好きだと言わせたいんだ。
「花子殿、何か用でござるか」
そうこうして直ぐに私の心を通わせた方が現れた。錆白兵その人である。目の前にするとこんな馬鹿げた冗談を言うのが恥ずかしくなってきた。だって、どこをどう見ても私は女じゃないか。
「花子殿?」
「あの、白兵さん。わ、私が…私がですね」
いや、やっぱりやめて置こうかな。言ったところで何が変わると言うのだ。むしろ、不利益の方が多いよ、ちょっと考え直さねば。
「私が?…花子殿、何かあったのでござるか?拙者にできる事があればなんでも申して頂きたい」
う、うわ…何て男前なお方なの。その強い視線に射抜かれた。私の目はもはやハートである。
「も、もしや、別れたいなどと言うわけでは…」
「いやいやいや!それは絶対ないです!」
「そ、そうか…では?」
どどどどうしよう、言う事を決めていたので今更これと言って良い案も浮かばない。きっと誤魔化したところで白兵さんは鋭い心眼で私の嘘の嘘を見抜いてしまう事だろうさ。
あ、そうだ。逆にここで分かりやすい私は男だという嘘をその鋭い心眼で直ぐに見抜いて貰って「まったく、花子殿は可愛い嘘をつくなぁ。可愛いやつめっ(おでこぴーん!)」なーんて事になれば一件落着だ。パッとここは正直に最初考えていた事を言ってしまおう。
「私、実は男なのです」
…言ってしまった。そうっと彼を見れば目を見開いて固まっていた。予想外の事が起きてしまった。目の前で手を振ってみる、反応はない。
「白兵さん?」
「ま、誠でござるか?」
私が名前を呼んだことで我に返った白兵さんは少しきょどきょどしてブツブツと何やら一人考えているようで私がなーんちゃってと言っても聞こえていない。おい、どうした、そんな分かりやすい嘘をついて、可愛いやつめっは!?デコピンはっ!?
「あ、あのう…」
「しかし、今の今まで男だったとして拙者はその花子殿を好きになったのだから最初から衆道の気があったのか…いやしかし、あの胸の膨らみと身体の線はどう見ても、女、 。どうしたものか…」
チラチラとこちらを垣間見る白兵さんにたらたらと汗が流れる。今更、嘘だと言えない。
さっきのなーんちゃってをもう少し大きな声ではっきりいえば良かったと後悔したがもう遅い。
「どう見ても女性…」
考えるのをいったん止め今度はじいっと私を見始めた。ああ、やばい。早く言わなくては。
「ごめんなさい」
「え?」
「私、女です、ごめんなさい」
冗談ですと掴まれた肩をビクビクとさせながらも言い切る。やっと言えた。はぁっと息を吐き出す、新鮮な空気が肺に入って生き返った。何も返答がない彼を不思議に思い見ればカチリと目が合いにこりと微笑まれた。
やばいこれ。知ってる、これはよく目つぶってる無駄に色気が強い真庭の忍がする黒い微笑みって奴だ。ひいっとうわずった声が出る。
「うむ、拙者はどちらでも花子殿であれば好きなのでござる。でもまぁ、拙者は誠か自分で確かめねば納得ができぬ頑固な所があって申し訳ないが…」
その細い身体でひょいっと軽々持ち上げられてしまい足早に何処かに運ばれている。着地点はどこですか?そこの石でもなくて、そこの切り株でも?ああもうこの際でしたら川に投げてくださっても構いません。だから降ろし…
「降ろしはせぬ」
「な、な、何処へ?」
「ちょっとそこの宿までご同行願う」
「や、宿っ!?」
「確かめねば納得ができぬ性格なのでござる、花子殿」
や、やはり、その含んだ笑いは全て分かって事を運んでいるじゃないかと思ったけれど、最初に聞きたかったどちらにしろ好きだという答えが聞けた事もあり、このお姫様抱っこと私にだけ向けるこの笑顔が重なって結論が出た、もうどうにでもなってしまえ。
(うむ、やはり拙者は女だと思っていた。正解でござるな花子殿)
(あ、そういえば何回もしていますよね、考えれば普通に分かりましたよね)
−−にこり。
私はその笑顔の意味を知りたい。
あとがき
丸様、フリリクありがとうございます。錆くん今まで書きすぎていて何を書いたら良いのか分からずテレビに出ていたオネエというワードを題材に書かせて頂きました。いかがでしたでしょうか?まったく甘くねぇじゃねえか糞がっ!と思われてもしょうがない自体になってしまいました事を申し訳なく思っております、ただ少し腹黒い白兵くんを書きたかった。笑 なんやかんや言って白兵くんアニメでなんも出番なかったんすよね、でも私のサイトでは連載を牛耳っているわけですからなんて魅力だ!刀語の子達が好き過ぎてツラくなりました。おやすみなさい。丸さん、これに懲りずにまたお会いしましょう。
ではこれにて、フリリク終了とさせて頂きます。ありがとうございました。
管理人、ひまわり
2013.11.25
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