■ シンプルイズ時と場合によってベスト!
なんだよ、ファラちゃんてば。
やっぱり会うたびソウジロウ君ソウジロウ君って、そいつの見た目や性格しかっていうか惚気しか聞いていないけどボクの方が絶対に可愛いしそんな外見のやつ絶対ヘタレでしかないじゃないか。前衛の彼にそれに比べてボクはファラちゃんの事を後ろから援護できるし回復だって!ファラちゃんの事を守ってあげれるのに。
そんな事をぶつくさと呟いていれば、目の前から女の子達の団体が歩いてきた。ふむふむ、中には可愛い子もいるけどやっぱりボクやファラちゃんに比べたら全然だよね〜もっと努力しなきゃだよ〜なんて鼻歌交じりに思っていると横を通り過ぎた団体の中に一人いる男の子に目が言った。
紺色の高い所で一つに結った髪の毛、クリンとした瞳、極めつけに侍服。
ああああああああ!!!!!!
「?なにか」
「え!?あ、ああ、ボクってば声に出しちゃってた?ごめんね、あのさ、君の名前って」
ちなみに、周りの女の子達の逆ナン〜?とかソウ様〜とか言った声は聞こえているよ。ただスルーしてるだけ、うるさいんだよ、おブスどもは黙りなよ。ボクはこの男の子に聞いているんだからさ。
「ソウジロウ=セタです」
………やっぱりか。
「やっぱりとは?」
「え!また声に出ちゃってた?ふぅーん、君がねぇ、へぇ〜」
そんなボクの含んだ言い方に疑問符を浮かべているその男の子を見ていい事を思いついてしまった。ボクってほんと頭いーい。
「いったい貴方は…」
「ボク、君のこと好きになっちゃった☆」
だから付き合って☆
あれだよね、僕の語尾にハートや星が飛ぶのは可愛いから仕方ないよね。ボクがウインクするたびに出るからもうこれってデフォルトだよね。
それにしても周りの女の子たちの悲鳴がうるさい。なにここ動物園なの?イライラしながらも、それを隠しながら目の前の男の子をじっとこの超絶プリティーフェイスで見つめてあげる。
「あ、あの…」
なんだいなんだい?ボクが可愛過ぎてメロメロなんだろ、そうなんだろ?早くボクに惚れちゃいなよ。
そしてけちょんけちょんにフってあげるよ。
ソウジロウ君。
「!?」
その答えとも取れるボクの目線よりも幾分も下にある下げた頭に驚いた。
そして周りにいる女の子の悲鳴にも耳を塞ぎたかったけどそれも出来ずにボクは立ちつくした。
「すいません、僕好きな人がいるので」
「はぁ?」
そいつ誰だよ、ボクのファラちゃんよりも可愛い子なの?あ、もしかしてブス専?ああそうなんだね!なるほど納得した!ボクの可愛さに目もくれないなんてそういう事しかないよね!
(なんだこいつブス専なのか!)
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