▼ 君はまたたび。
「さぁ、ご飯にしますのにゃ」
はい、と手渡された美味しそうなお肉がのるお皿を見る。ああいけないヨダレが垂れそうになってしまった。
「今日も美味しそう」
「このくらい、なんて事ないですにゃあ」
そうニコニコ笑いながら私が食べるのを見る班長、実にイケメ…イケ猫じゃないか。ぱくぱく口に入れながらいたたまれない気になる。
ま、まぁ…私は元々料理人のスキルは持っていないし、だから料理が出来ないと言う事で通っているのだけれど。本当は元の世界での私も料理がヘタだ。
多分、直継君は床へ突っ伏し、シロエ君はきっと苦笑いしながら誉め言葉を並べながらも箸が進まないといった惨状だろう。
いつもいつも美味しい料理を作ってくれる彼に私も作ってあげたいな、なんて女の子らしい事を考えてみる。
「美味しくないですかにゃ?」
「……え!?」
そ、そんなこと…と慌てて否定をすれば、不思議な顔をされ何処か悪いのかと顔を覗き込まれた。
じっと見られ顔に熱が集まる。
ふと彼を見れば少し口元が弧を描いている。きっとこの人は私が何を考え悩んでいるのか分かっているんだ。だけど、意地悪だから私の口からその答えを聞くまで逃がしてくれはしないのだろう。ほら尻尾が揺れている。
「ちっ違うんです、私…本当は」
「本当は?」
「料理…出来ないんです。現実世界でも料理がヘタで、ほんと何を作っても失敗ばかりで…班長は毎日美味しい料理を作ってくれるでしょう?だから女として情けなくって…私も班長に何かしてあげたいなって…」
「………」
「?」
固まったまま何も言葉を発しない班長にあ、あの…っと声を掛ければすくっと立ち上がり手を引かれた。
「ご、ご飯がまだ残って…」
「後で温めればいいですにゃ」
え?え?一体どこに行くのと言ってもただ微笑まれるだけで最終的にはお姫様抱っこという謎の行動までされてしまった。真上にある班長を見上げればやっと口を開く。
「私に何かしてあげたい、ですかにゃ」
「え、ええ…言いましたけど」
「花子さんが吾が輩のそばに居てくれくれる。それだけで嬉しいですにゃあ」
頬に当たった温かい熱を感じてもう何も言えない。むしろ恥ずかしくて顔をあげれない。や、やだ、格好よすぎる。もうにゃん太班長が好き過ぎておかしくなりそう。頬に触れた猫独特の柔らかい毛の感触も、たまに爪研ぎをする姿も全て好き。
でも、本当に何処にいくのだろう。
「可愛い事を言う花子さんが悪いのにゃ」
可愛いのは班長の方じゃないですか。そんな可愛い顔で微笑むなんて反則です班長、私の心臓を止める気ですか。
もう抵抗することは諦めた私はただその逞しいフカフカした胸に顔を埋めたのだった。
(え?あ、あの…班長?)
(あんな可愛い事を言われたら抑えられないのにゃあ)
あとがき
すみません、最後は下ネタに走ってしまいました。いけないいけない。読んで頂きありがとうございました。にゃん太班長まじイケメンですよねぇ、あれで30〜40代、しかもゲーム90レベルの凄腕ってリアルは期待出来ないだろ絶対とか思ってしまうんだろうけど…にゃん太班長なら何でも良いよー!!と思わせてしまうにゃん太班長すごい。
2013.11.03
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