▼ かさぶた 3話
戸田は最近、体育祭のやつで忙しいみたい。色々荷物運んでる所を見るし、放課後も残って指導しているみたいだし、団長って大変だなー。
「ねぇ、戸田。これ運ぶの手伝おうか」
段ボールを今からしたの学年に届けに行くみたいだ、箱は軽いけど量があるみたいだからこれは一緒にいるチャンスと声をかけた。がしかし、女の私では役不足だと鼻で笑われた。
これくらい持てるっつーの、ぐいっと箱を持てばおおっと驚いた声が聞こえる。
「意外、んじゃあ頼むわ」
戸田は残る箱をひょいっと軽く持ち上げた。私はその後を追いかける。お、重たい…でも今更ごめん持てないとかいう訳にいかないし、とにかく早く着けー!と願っていると意外と早くに戸田が大きな声を出した。
「おーい!一年生、ゼッケン持ってきたぞー!」
はふーと段ボールを置けば、一年男子の注目の的。美人じゃね!?いや、可愛いだろ!っと聞こえてくる、うわ今年の一年生良い子達ばっかだねーと微笑めば戸田に頭を叩かれた。
叩かれた、きゃー、叩かれた!うわっ、今日はもう頭を洗いたくない。
「変な事考えてんなよ、行くぞ」
はーいとデヘデヘ笑いながら扉を出ようとすると戸田が一年の女の子に声を掛けられていた。
「団長、今日の放課後振り付け見てもらって良いですか?」
な、何ですとっ!振り返れば私ときっとおんなじ様な表情をした男の子と目が合い互いに会釈をした。多分、今の一瞬で察しただろう。私はあいつが好き、そしてあの子はこの小さい女の子が好き。
「あんた格好良いんだからあの子捕まえときなさいよ」
「こっちの台詞ですよ」
何方からともなく寄りヒソヒソ話す。何だかこいつとは話があいそうだ。
「わたし山田 花子、何かあったら相談のるよ」
「俺、安藤っす。」
この時、わたし等は互いの恋を応援し合い、そして友達になった。
「花子せんぱーい、CDさんきゅー」
「敬語ぐらい使えキサマ」
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