▼ かさぶたぶたぶ、かさぶた。
「とーだ!どうしたんだよ、この絆創膏!」
うちのクラスの男子の会話が聞こえてくる。私はこの男が好きだ。大雑把で声が大きくて、恥じらいが無いこの男が。
「あーこれ?後輩の女の子にやってもらった」
あんだと?
今なんか変な幻聴が聞こえてきた。え?なにそのヤラシーシチュエーション、うわ、隣の男という事かぶった。いや、それはどうでも良い、何それ。
私はちらりと後ろを覗き見る。
「なにその女の子可愛いの?」
「んー…あー、でも可愛いな」
えええええ!?ま、まじかよ、あの面食いの戸田が可愛いって…
「−−ぇ!ねぇ?花子、聞いてんの?ってかあんた今どこ見てた?」
にやにやと友達に肩を揺さ振られる、分かりやすくてごめんなさい、多分今とてつもない顔をしていたと思う。
「だってー、だってー」
「どわっ!何であんた泣いてんのよ!」
「ねぇ、私知ってるよー」
「今さっきねぇ?」「ねぇ?」
「戸田が後輩の子に絆創膏貼ってもらったっていう話〜」
うわぁぁぁ、と泣き崩れる私。
そして周りはゲラゲラと笑い、そして私と共に崩れる。このリア充どもが!!
私だって、私だって戸田にこだわらなければなぁ…
「ははは、何で花子ってばあんな奴にこだわる訳?」
「ほんとほんと!」「ねぇ!」
「あんたモテんだからすぐ彼氏できんじゃん?」
違うの、戸田じゃなきゃ嫌なのぉぉ…と泣く私を見て笑う皆。
戸田はというもののさっさと教室に戻ってしまった。はぁ、私もワザと怪我して保健室いきゃあ良かった。
そして女子力を魅せてやったものを。
「ほら、早く着替えないと次移動だよー」
「ほほーい…」
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