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▼ お酒うまい。



お酒の効果は凄いと思うのだ。いつも話しかける事の出来ない私が今日はいけそうな気がしてくるなんて、ちびちびとお酒を飲みながら数メートル先の直継先輩を見る。うわあ、体つきがたまんない。格好良いなぁ…。

「花子さんは本当に分かりやすいのにゃあ」

ちらり、横を見れば班長がすわっていた。

「班長…」

「あんなに隙が多い男もああは居ないのにゃ」

そ、そうかなぁ。数メートル先の彼を見れば周りを巻き込んで馬鹿騒ぎをしていて、ここで自分の話が繰り広げられている事など考えてもいないだろう。

「先輩は…私の事なんて気に留めた事ありませんよ」

そう自虐してぐいーっと喉に酒をかっ込む。うはぁ、熱い。班長が心配そうに覗き込んでいるのが分かった。ボヤけているけど。

「はんちょう〜…」

ボロボロと涙が出る。
ここは大人の包容力で慰めて貰おうと手を広げて抱きつこうとすれば頭を掴まれた。

「にゃあ、そろそろ休むと良いにゃ」

いつも通りの笑みを浮かべて何か手招きをしている。何をしてるんだろう?まぁ、慰めてくれないなら良いですよ、一人で部屋に帰って寝ますと立ち上がりふらふらと歩き始めて
よろけた時に肩を支える何かに視線を移す。

こ、これは、鎧。
ま、まさかねぇ、なわけないない!きっと班長が私を慰めてくれる為に先輩に似た体格の守護者を呼んでくれたんだ。絶対そう。

「お前、大丈夫かあ?」

声まで似てるなぁ。

「しょうがねぇなぁ」

そう心地良い声が聞こえてふわっと身体が宙に浮く、目の前にある顔に空いた口が塞がらないっ。

「せせせん、せんぱぱっ!」

「はぁ?そうだけど呑み過ぎだぞ、お前。二十歳越えてんならもっと大人な呑み方をだ、なぁ…ん?」

顔が熱い、多分真赤だ私。きっとお酒でほんのり赤かっただろう頬がお酒の所為に出来ないほどに染まっている。

「ま、まぁ…部屋に行くぞ」

お、お姫様抱っこと言うやつかこれが。初めてされたけどこれほど恥かしいものだとは、どこを向けばいいのか分からず胸に顔を隠すように押し当てていた。

ぎぃっと扉が開く音がする。

きっと部屋に着いたんだろう。ポスリとベットに降ろされる。なんだかまだあの腕の中に居たかったなと思いながらボーッとしていれば掌がおでこに触れた。

「んー、熱はねぇみたいだけど」

「せ、せんぱっ」

「顔が赤すぎないか?」

「そ、それはですねっあのっ…」

ずっと憧れ続けていた先輩が目の前にいて、そして私と2人きりでしゃべっているという時日にアタフタする。何を話したら良いのか分からない。

「花子?」

「え、私の名前知って…」

まさかと驚いた。気にもされていないと思っていたから名前なんて覚えられてるわけないとばかり。

「あっ、当たり前だろ!」

「嬉しいです…」

お酒、この時だけはお酒を恨んだ、涙腺が緩むんだ馬鹿野郎。

「ごめんなさっ、先輩てっきり私の事知らないと思って…!」

え?なに?なになに先輩が超近いんですけどほんと何事ですか、これはゆめですか、これはきっと先輩の皮を被ったナニカで私を騙してるんだ。

「俺の気も知らないで…」

ぎゅうと腕が回されている。頭がついて行かずただ硬直していれば直継先輩が私の耳元で話始めた。

「お前何かあると班長の所に行き過ぎなんだよっ、俺が近くに寄ると遠くに行くし話しかけようとすれば班長と話してる」

俺が嫌いなのか?

体を離され真っ直ぐな目で見られる。
嫌いな訳ない、嫌いな訳ないじゃないですか。

「好きです」

「え?」

「私、な、直継先輩がずっと好きでした」

予想外の答えだったのか狼狽える彼に笑ってしまった。

「じ、実は俺も…好きなんだ」

私もそんな夢みたいな事あるわけがないと頬をつねるが夢じゃないみたいだ。う、嘘…冗談ですよね?とアワアワ尋ねればぶそくれた顔で冗談だって、そう言って欲しいのか?と言われたから必死で首を横に振った。

「好き、ですか?本当に?」

しつこい位に聞いてしまう。けれど先輩は嫌な顔せずに頷いたり、好きだと言葉にしてくれた。しかし、徐々に距離が近づいているのは気のせいじゃない。ベットに座る私の前で話していたのに今は横に座って手を重ねている。

「あ、あの…」

「ん?」

す、少し近くないですか?と見上げればそうか?と首を傾げ、俺は今まで近づけなかった分もっと近づきたいんだけどと顔を近づけて来た。ち、ちゅー!!これはやばい、目瞑った方がいーよね、目開けてたら変だよね、変な顔してないかな、頭の中がわちゃわちゃしてる。誰か助けて。

「ストップだにゃ」

はぁー、やれやれと顔を横に振り歩いてくるにゃん太班長を涙目で見つめる。

「まだ若い直継ちに任せて大丈夫かと思い見に来たら案の定ですにゃ」

「えー!これ位良いじゃないっすか、両想いなんだし、なぁ?」

班長に手を取られ、もう片方の手は先輩に取られ。もう私はどうしたら良いのか分からずお酒が入っている所為もあってか倒れてしまいました。

「花子さんっ」

「大丈夫か!おいっ!」





(な、直継先輩がリア充過ぎて怖いです)

(どんな寝言だよ)



あとがき

直継まじリア充の匂いを漂わせてますよね、そして二十五歳、ですか。もう良い歳だし攻めには弱くても、受け身な好きな子には直ぐに手を出してしまいそうですよね。うおおあお、守護者うおおお。リア充ふたりにサンドイッチな夢主でした。ありがとうございました。
(感想ぶちまける。)


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