■ 事後報告。
「そういやぁ忘れてた」とペロペロキャンディーを口にした真庭蝙蝠を見る。ソファーに寝そべり漫画を見ながらぺろキャン食ってる所をみるとここアンタの家みたいだね!と踏み潰したくなる。
「なぁ、あんたのおかげで真庭の里が復興されてってんだ」
忘れるなよ、と思ったけどその言葉を飲み込む。そうか、鳳凰さんあれちゃんと売って復興にあててくれたのか。ここで刀を探すのは.もうやめるのよ、なんてバカな事は言わない事にする。言うのは頭領であるあの人だけで充分だろう。他に言っては何かを勘ぐられて色々聞かれたり個人で収集されては厄介だ。
「そっか、そりゃ良かったね」
「鳳凰さん寂しそうだけどなー、きゃはきゃは!お前から貰った宝石、一個だけ首から下げて大切そうにしてるんだぜ?あの人も人の子だったんだなーっきゃはきゃは!」
最後のは自分ちの頭領に対して失礼じゃないかと思ったけどそれ以上にその事を聞いて胸が苦しくなった。大切に…してくれているんだ。
「なんだなんだ、あんたがまだ鳳凰さん好きならこっちに来ちまえばいいじゃねぇか」
この真庭蝙蝠という男は頭が良い。
あの世界の人しかあの世界に帰れないっていうのなら可笑しな話だと笑った。なぜこの世界の宝石はあの世界に行けた?なぜこの世界の服を着てこれた?あんたは試したのか?俺達が消える時に一緒に来ようとしたのか?とまるで何もかも知っているかのような口ぶりでそう言ったのだ。
「それは…」
「ま、別にどうでも良いけどなそんな事。試してみて駄目なら絶望…するしなアンタ!きゃはきゃは!」
そうだ、今はあちらの世界に行けるわけがないと思っているからまだ良い。
これでもし、もし試してしまったなら…もう、あちらの世界に帰ってしまった者には一生会えないと決まってしまう。
白兵くんが消える時に多分じゃなくても私は彼の手を掴むだろう。
その時…もしもその手が掴めなかったら?すりぬける?それとも掴んだ手がそのまま消えていく?どちらにしろ……酷だ。
「花子殿?どうかしたでござるか?」
(この人がいなくなる時わたしは貴方の手を掴んでいる事ができるのだろうか)
(……泣きそうな顔をしてるでござるよ)
(ちょっと待て!俺は関係ないってーの!)
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