■ 褥を共にするといっても。
「まぁ、あたしの事は気にしないで」
ほらほらと私の背を押す迷彩さん。白兵くんは布団へ座りながら頬を染めてちらちらこちらを見ている。なんかそんな態度を取られると逆に恥ずかしいんだけど。
−−バタン。
扉が閉まる。きっと外ではニヤニヤと姐さんが笑ってらっしゃる事でしょう。
「花子殿…」
「目キラキラさせ過ぎだよ」
近くによれば隅により私のスペースをちゃっかり作っている。
「嫌でござるか?」
誰もそんな事言ってない。だけどそんなにキラキラとした目で見られたら少し気恥ずかしいというものだ。私は少し熱くなった顔を隠しながら「お邪魔します」と腰を布団の上へおろした。
「…なんか恥ずかしい」
「慣れないでござるな、しかし…」
敦賀殿から貰ったチャンスだと意気込む白兵くんは布団へ寝転び「ほら!」っと腕を伸ばしてきた。鳳凰さんとは違い細い腕を腕枕でござる!とキラキラした目でやってくるから可愛くてつい笑いが込み上げてきてしまった。
「お、おかしいでござるか?」
少ししょんぼりと眉尻を下げるものだから私は少し慌て訂正する。
「ち!違うの背伸びしているのが可愛いなぁって…さ」
「か…可愛い…」
さっきより落ち込んでしまった気がする。その時、頭と腰に手がまわりぎゅうっと身体が重なり合う。上から聞こえた声は凄く切なそうなそんな声だった。
「可愛いと言われても嬉しくない」
「…うん、ごめんなさい」
「鳳凰殿と違い背も低いし線も細い事は承知してる、故に筋力を付けるために毎日特訓をしているでござる…」
確かに最近、姿が見えない事があったなと頭の中で1人で秘密の特訓をしているところを妄想して萌えていれば次に聞こえてきた声にどきりと胸が鳴った。
「今はまだ頼りないかもしれないけれど、花子殿に釣り合う男になりたい…でござる」
「………うん、でも"なりたい"じゃなくて"なる"でしょ?」
上を向いてその整った唇に自分のを重ねた。ほんと、白兵くんの気持ちには敵わないよ。もう君が大好き。
(おやすみ、白兵くん)
(え、花子殿…え?)
(き、きゃはきゃはー!タイミングが分からなかったぜ!俺様は真庭忍軍が獣組頭領が一人真庭蝙蝠だぁー…って寝てんな女ー!!)
(黙れ、貴様殺すぞ)
(ちょ、目が本気だぜ?ほら、あんたが起き上がると女が起きちゃうだろ?な?やめとこ?)
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