■ つかの間のひと時。*



銀閣さんが消えた後、白兵くんの初々しさに胸をきゅんきゅんさせていた。甘酸っぱい、なんか青春て感じがすると一人でしみじみ耳を赤くさせて俯いている白兵くんを見て思った。

「つづき、する?」

ソファーに座る二人の隙間を詰めてそう顔を覗き込む。わ、真っ赤。

「………」

こくり、頷いたのを見届けて上に添えられた手を握り返した。でも、何したらいいんだろ?この歳になると何がして良くて悪いのかが分からない。ちゅうはして良いのかな、なんて男側の立場で考えてしまう私は白兵くんの普段の可愛さに侵されている記しだろうか。

覗き込んだ顔が思いのほか可愛くて今すぐにでも押し倒してピーな事をしてしまいそうになる。昼間から規制がかかるような事をしてはダメ!ダメよ花子!

でも、ち、ちゅうくらいなら良いよね。

そっと頬に手を伸ばせばビクリと震える肩にまたもきゅんとして、薄くも形の良い唇に口付けた。

「…………」

何も言葉を発しない白兵くんを不思議に思い、もう一度と顔を近づけた瞬間私の身体が反転した。あれ、天井が見える。

「え?あの、白兵…んむぅ!」

彼にオオカミの耳が見えるのは私の気のせいだろうか、ちゅうちゅう可愛く口を付けてきたかと思えばぐいっと唇の隙間から舌が入ってきては不器用に舌を絡められる。抑えられた両手の拘束のせいもあってか久しぶりなのもあってか少しその昼間から行われているエッチな行為に興奮している自分がいた。

「っ…はぁ…っん…」

白兵くんも二十歳だというのに剣以外の事を知らないなんて勿体無さ過ぎだ。それに、溜め込み過ぎてこんなに尻尾振り振り然りこの荒い息づかい然りただの思春期真っ盛りの男の子になっちゃってるじゃないか。

「花子殿っ、花子殿っ…」

でもまぁ、こんな私のに名前を愛し気に呼んでくれているのだから良いかと目を瞑り彼のするがままになってみる。たまに目を開ければその視線に気づいた白兵くんと視線があってそのギラギラした目にドキリとさせられる。

「……っあ、あの、するの?」

するりと肌に入り込んだ、綺麗な顔に似合わない豆だらけのゴツゴツした手。「するの?」と聞くのは少し意地悪だとは思うけれど今はお昼なのだ、やはり少し恥ずかしさってものがある。ふぃっと恥ずかしくて視線をそらすとそこにはこの部屋には不似合いの巫女の服。

「………え?」
「続けていーって、いーって、あたしの事は気にしないで良いから」

ほら、神様も怒った。

「…………」

顔を真っ赤にした白兵くんがその声の主の方を向き口を魚のようにパクパクとしている。
敦賀迷彩だ。酒瓶を片手に楽しそうに此方の様子を見ている。綺麗な人、って違う違う!

捲れ上がったティーシャツの裾をババっと下げて白兵くんを上から蹴飛ばす。

「ぃいらっしゃいませ!こ、ここはですね」

「うん?別に続けて貰ってあたしゃ構わないんだけどねえ」



(……….花子殿…)
(うわっ、ご、ごめんね、白兵くん、痛くなかった?)
(可哀想にねぇ、坊や。くっくっく)



(comment*☆.)


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