■ 赤い鳥あらわる。
もう本当にやる気がゼロだ。中学の時からの望みが叶ったと思えばこれだ。神様、どういうこと?
私はベットに入ったはいいものの、なかなか寝付けずにいた。
喉乾いたな…水でも飲むかな。
キッチンで水を飲んでいると何か物音が聞こえて来た。脱衣所の方だ。
まさか白兵くん、帰って来たのかな!
私は急ぎ足で白兵くんが消えたドアのぶの前に立ちガチャリとドアを開けた。
「………」
「……間違えました」
見てはいけない人を見た気がする。
「ちょっと待て」
白兵くんとは正反対の人が降臨しなさった。真っ赤な服来たサンタ、いや、真庭の頭領様だ。
直ぐにドアが開けられギョッとする。
「すいません、すいません、勝手に閉めてすみませんでした」
「いや、そんな事はどうでも良いのだが此処は我のいた時代よりもここは大分進んでいるように見えるのだが」
さすが賢い!冷静でいらっしゃる。
「気付いたら此処に居た、何か知らぬか女」
ここで女呼ばわりかよ、
「あなたがくる前に錆白兵と言う方が来られましたが?」
「なんだと、それは誠の話か!」
「少し話しましょうか」
これは金太郎飴の如く話さねば、この家にいる限りやってくるのだろう。悲しさあってか怖さあってかあまり手放しでは喜べない状態だがとりあえず説明した。
「ふむ、成る程。いささか狭いが世話になるとするか…お主、名は?」
「…………山田 花子」
あんた三十二歳だろ?ちょっとは気い使うとか出来ないのかよ、ほんと白兵くん帰って来てと心の中で泣きわめいている事など知らない鳳凰様は勝手に歩き回る歩き回る。
「ちょっと勝手に色んな所開けないで」
「何をぶそくれている、我のような男と住めて嬉しいのだろう」
ならば素直に喜べ、とほくそ笑む赤い鳥は外に出たいと言いはじめた。
どこまで自分勝手なんだこの人。
「駄目っ!今何時だと思ってんのよ、また明日!明日になったら良いからっ」
「我に命令するか」
「ここは私の家ですが、一生帰れなくなっていいならでてけば?私は構わないから」
「……女…怒ると怖いのだな」
別に貴方が戻れなくなった所で私の前からは消えてくれて構わない。せいぜい、外に出てトラックや電車に挑んで死ぬが良い。
私はこの人があまり好きではなかったが、こうして直に会って嫌いに降格した。
何故かって?
まぁ、ゆくゆくね。
それよりも…ゆ、許すまじ、真庭鳳凰。
「ちょっと!それ私の下着っ!!」
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