■ 謎だらけな神様。
しかし謎だよな、神様。どうなってんだ、天からの声的な物も聞こえてこないし刀語軍団もいきなり現れてはいきなり消えての繰り返しだし。少しの優しさなのか白兵くんだけはこの世界に置いといてくれているし。
ちらり、白兵くんを見る。
にこりと微笑む白兵くんは実に愛らしい。最初の威勢はどこに消えたのか今はデレしかないぞ。…そっか、よくよく考えてみれば最初から今まで何があっても私を支えてくれ好きだと言ってくれてたなと暖かい気持ちになった。
「白兵くん」
そそそそそ、と近寄りぴとりと横にくっ付く。触れた腕がじんわりと熱を帯びていく、あーあ、久しぶりに感じた、こんな気持ち、落ち着くなぁ。
「白兵くん」
ずいっと少し上にある顔を覗き込めば視界に入ったのは一面の赤。白い肌が真っ赤に染まっていて少し驚いた。そ、そこまで赤くなる?思い返して見れば、この私の気持ちも彼には伝えていないし私から行動を起こした事が無いなと思った。
「白兵くん、あのね」
「花子殿、ななな何を…」
林檎みたいな引け腰の彼に更に近づくとちょっとと両手でガードしてくる白兵くんにいけない事をしているみたいだなとムラッときた。
「好きだよ」
「へ?」
「だから、私ね、白兵くんが好き」
白兵くんに想いを伝えれば口をぱくぱくさせて驚いている、そうか、私以前、鳳凰さんが好きだったものなと少し考える。何ヶ月も前の事とは言え軽過ぎかな、でもこれが私の正直な気持ちなんだ。常に私のそばに居てくれて愛してくれた君が好き、分かって欲しい。そう思い私は口を開く。
「鳳凰さんの事はね、忘れたわけじゃないよ。まだ心の何処かでもう一度会いたいと思ってる…だけどね、あの時も今までもずっと待っているって側で支えてくれて好きだって言ってくれてた優しい白兵くんに徐々に惹かれていったの。ううん、それ以上に一緒に生活していて白兵くんの事が好きになってた。白兵くんがいなくなったらどうしたら良いかわかんない。泣く、凄い泣く。」
想いを全て伝えたら怖くなった。
「でも居なくなったら、どうしよう〜」
うぇぇぇと涙も出てくるし悲しくなってくるし私は本当におかしくなってしまった。これが恋の魔力か。
袖を握っていれば白兵くんがいつものように優しい声で大丈夫と口にした。
「白兵くんが大丈夫って言うと本当に大丈夫なのかもって思う」
「じゃあ何度でも言うでござるよ」
大丈夫、大丈夫。
いつの間にか私は白兵くんの腕の中に収まって濡れた顔を彼の胸に押し当てていた。
ぽんぽんとなだめるように背中を叩く手。
「好き…」
「花子殿、少し拙者の頬をつねっては下さらんか…いててて、夢じゃない」
(ちょいとお姉ちゃん達、お取り込み中のとこ処悪いんだが…ここどこだ?)
(う、ぅわああ!な、何者だッ!!)
(ん?残念、この続きはまた今度だよ白兵くん)
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