■ 拷問の時間だよー。
「という訳で大変世話になった」
そう頭を下げた蟷螂さんに続き後ろ二人も頭を下げる。そんなにお礼を言われる事ではないと思うのだけれど。…貴方達の残酷な未来を知って放って置く事なんて出来る筈がないでしょう。
宝石といってもあの世界時代にはないと思われるものを突っ込んどいただけだ。
あの時代にはきっと宝石を綺麗にカットして装飾した物なんてないだろうから。
「お礼なんて別にいいって」
「いや、そんな訳にはいかない」
とりあえず錆くんがいる所ではこの話はしたくなかったのだと言う。蝶蝶さんがやけに錆くんがお風呂に行った時にソワソワしていたのはこれだったのか。
「だってなんか真庭忍軍が娘一人に助けられたなんて恥ずかしいだろ」
「鼻で笑われそうですから」
そ、そんな事しないと思う…とは言えこの三人が錆くんに少し敵対している事は気づいているから何も言えないけど。
「鳳凰殿にはもし行く事があればお礼をと言われている」
「そうだぜ!なんか出来る事があれば言ってくれっ!」
「でも限度はありますけどね」
そうだなぁ、とりあえずは蝶蝶さんには結構なおして欲しいことはあるんだけどな。
「私が買ったアイスを勝手に食べないで下さい。後は風呂も長い、裸で歩くな、外に行く時には誰か同伴させろ、忍術外では禁止、この前近所のおばちゃんから貴方のとこの子は力持ちねぇって言われたんだけど」
「とりあえず、蝶蝶にはそうさせる」
「うちの蝶蝶さんがすみませんでした」
深々と頭を下げる二人を横目に顔を赤くしてぶそくれる小人。
「…ごめんなさい、は?」
「い、いやだ!」
子供ですかアンタは、まぁいーですよと呟き温かいお茶をすする。あ、もうそろそろ白兵君が戻ってくる時間かな?
「花子殿、す、すまな…」
「ただいまでござる…なっ、花子殿に何をしている!!」
白兵君の声が聞こえた瞬間、手に持っていたお茶が宙を舞い私の頭に着地した、否、お茶をぶっかけられた。
「う…あーっはっは!謝るかってんだバーカ!」
蟷螂さんは呆れたように首を振り蜜蜂君は噴き出した。蜜蜂この野郎。
「………」
「花子さん、蝶蝶さんつんでれなんですよ、ね!昨日テレビでやってたあれですよ!許してあげてくだ…花子さん?」
つんでれ?こいつがツンデレだと?
どこにデレの要素が存在しているというんだ言ってみろ!
「蝶蝶、てめーちょっとこっち来い」
「え、いや、あの…」
隣で白兵君が花子殿?と気遣ってくれているけれど、躾をしてあげなければいけないの私はこのお子ちゃまに。
目上の者にそんな態度をとったらどうなるかを。
その日、夕飯には二人顔を出さなかった。
ただ聞こえてくるのは仲間に助けを求める叫び声とすすり泣く声だったとか。
(いやあ、錆くんの料理はいつも美味しいですねぇ)
(いや、お粗末様でござる)
(さ、錆殿…花子殿は何をしているんだ、悲鳴が途絶えたが)
(さぁ?自業自得でござろう、花子殿の鬱憤が晴れるまで出ては来られぬ)
(み、蜜蜂、お前は気にならないのか?)
(ええ、想像した方が面白いですし)
(お、お前……)
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