■ ぬぬぬと眉間に。



初仕事を終え足早に帰って来たと思えばなんだこれは。店主から貰ったコロッケの入ったビニール袋を床へ落としてしまった。それを慌てて取りにくる花子殿はいつも通り可愛い。いやそれよりも…

「何故また増えている、しかも三人も」

まだ来てそんなにも経ってないだろう。何故、この時代の服を着てTVを付けいかにもここに住んでますといった風に生活をこの家でしているんだ。

「あ、お邪魔してまーすってどなたですか?」

「え?あれ錆白兵だよ」

「え、髪黒いし短いぞ」

「環境に適応したんですよ」

「刀も差していませんね」

「この時代じゃあご法度なの」

「って事はこの家の何処かに四季崎の刀があるって事だなっ!」

よしっ、探すぞっと立ち上がった白い頭の頬を花子殿が迷わず摘まむ。いたたたたっと頬を抑える、どうだ思い知ったか花子殿を怒らせたら怖いのだ。

「そーゆうのは元の世界に戻ってからして下さい。ここでは私のいう事を聞くこと!」

「ひゃい……ぃってぇぇぇ…」

「ははははいっ!!」

「………分かった」


今拙者はなぜかあやつらの分も夕餉の準備をしながら考えていた。く……やっと二人きりになれたというのに。花子殿も拙者にゆっくりとだが心が寄りつつあるのだ、この機会をお邪魔虫に入られては困る。

「あそこのコロッケ美味しーんだよね、白兵くんありがとう」

可愛い。

「いや、別に、でも花子殿が喜んでくれるのなら毎日持って帰ってくるでござるが…」

この微笑みを一人占めできていたのもほんの一瞬のようであったな、もう少し記憶に残るように目に焼き付けて置けば良かった。いやでも良く考えてみれば能無しどもはTVにハマってこちらの様子など見ていないのではないか?それに花子殿はキッチンによく顔を見せに来て手伝おうか?と言ってくれる。

今こそ二人きり!

「花子、殿…そのふ、二人き」

「おーい!!飲みもんくれ、三個なッ!」

「はいはい、んで白兵くんはどうしたの?」


「何でもないでござる…」



(わー!白兵くん菜箸っ菜箸折れてるよー!)

(え、何?何でこっち睨んでんの?)
(comment*☆.)


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