■ こんなもんですわ。



言っても私は世間一般平凡な平社員だ。給料などたかだか知れたもの。今日ね、三人の成人男性が増えたんですよ。逆ハーレム?ううん、あ、でも人はそう呼ぶかも知れないね。だけど違うの、子ども1名その下僕1名、そしてとても頼りになる保護者的な蟷螂さん1名。とりあえず今日から家計が火の車ですわ。


「うおおおお!花子殿凄えええ、何だこの鉄の車は超速いぜー!」

「静かに座ってろ蝶蝶」

「そうですよー蝶蝶さん。でもでも、こんな便利な物が未来にはあるんですねぇ、僕ビックリしちゃいました」

運転をしている私は変なことをしないかとチラチラと後ろをミラーで確認していた。席順を間違えた。蟷螂さんを助手席じゃなくて蝶蝶さんにしとけば良かったんだわ、これ。

心配しながらも数十分、辿り着いたのは某有名子供用品取扱屋、西松屋である。店に入れば固まる三人。私はそれを無視しスタスタと歩いた。店内に響き渡る声で店にいる赤ちゃんが二人くらい泣いてしまった。

「煩いっすよ、蝶蝶さん」

「なっんで子供が沢山いんだよっ!俺は子供じゃねえ!−−歳だあああ!!!」

年齢の部分に規制が掛かった気がするのは気のせいだろうか。店員さん含むお客が全員振り返ってこちらを見た。何を冗談言っているのかしら可愛いわね、と言うかの様に微笑んでいるじゃないか。

「もう良い歳なんですよねぇ」

「それならば年相応の行動をしろ」

虫組の個々の感想を聞いた所で私は噴火しそうな蝶蝶さんの目の前に向かい立つ。

「蝶蝶さん、良く見てください。大きさを合わせてここに来ましたがこのバリエーションの多さに加えて子供服な筈なのに大人が着てもおかしくないような服のセンスをっ!!今の子供服は子供じゃないんですっ大人何ですよ!」

最後の方は勢い任せで蝶蝶さんを幕したてた。わー格好イイですとパチパチ手を叩く蜜蜂くんの横では蝶蝶さんが固まっていて、私の横ではセンス?バリ?と意味の分からない単語に混乱している蟷螂さんがいた。

「とりあえず見ましょうっ、好きな服買ってあげます!」

そう手を引けば意識を戻した蝶蝶さんはうわあああっと手を離した。

「や、やめろ!これじゃ本当に子供みてえじゃねーか!たったく、仕方ねぇなあ…本当に好きなもん買ってくれんのかよ?」

少し恥ずかしかったのか顔を赤らめて不足れた蝶蝶さんが猛烈に可愛く母性本能が暴れ出したがそこは理性を働かせて何とか押さえ込んだ。

「もう何でも買っちゃう」



(花子殿、鼻息が荒いぞ…)

(え、こ、これが普通です、通常!)

(花子殿ってどこか残念だよな)

(もう少しおしとやかだったらモテるんじゃないですか)

(いやいや生意気そうな娘もいいぜ?)

(それは蝶蝶さんのタイプじゃないですかぁー、あ、でもでもっ…)



(おい、口閉じろそこ2名)

(……すまない花子殿)





(comment*☆.)


[ prev / next ]
「#幼馴染」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -