■ 交差する気持ち。
「眩しい」
「……花子殿はさっきから大袈裟でござる」
染料を塗りたくり放置した後、風呂場に入れて数分して姿を現した彼に絶句。素晴らしい出来栄えだ。
「数日は慣れなさそうだよ、ほんと」
「しかし、今の時代っぽいでござるな。誠、鏡を見て思うのだが…花子殿はこ、この様な男はその…あ、ありでござるか?」
「何を言ってんの!ありありだよ!」
ふむふむ、こうよく見ると本当に普通の一般人だな。今更ながらにあの髪型は奇抜な方だと理解した。あの時代の人髪の毛長いからなあ…それにアニメの色彩は現代では少し目立つ。多分、この白兵くんを刀語を知ってる人が見てもコスプレだーとか似てるなんて思わないだろう。えいっ
「なっなにを!」
「ちゃんといるーって今更ながらに確認してみたり」
ぷにっとした頬の感触を楽しみつつ思うのだ。そう言えば、初対面から今までなかったなそんなのと。すぐに帰るだろう、少し堪能したら別に。そんな事を思っていた。
けれど…今では完全に依存しきっているのは私だ。
「さてと、久々に腕をふるっちゃおーかな!」
「花子殿?」
こんなに幸せな日々が何故かいきなり訪れた。神様には感謝してる、何を意図してこんな事をしてくれたのか分からないけれど…私はこの幸せを離したく…なかった。
「イケメンの彼に手料理ーってね」
「かっ、かれ!?」
いつ神様は私を見限るのだろう。
その恐怖に怯えながら私は今を過ごすのだ。
(私は酷い人間だ)
(拙者はここの人間に見えるだろうか)
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