■ その光の意味。




「で、お兄さんの光ってなに?」


私達が振り返った先には鳳凰さんの足元が光っていてどんどんと姿が薄れている。嘘、嘘でしょ。何でこんな急にっ、私は何も考えず彼の腕を掴んでいた。鳳凰さんはその私の行動に吃驚した顔をしていて、でも貴方は私を連れてくって最初に言ったじゃないか。そう言えば、やはり無理だと手を払われた。

「行きたい」
「駄目だ」
「何でだよ変態馬鹿…変態!」
「…危険な仕事をしているからだ、よく考えてみれば側には置いとけない」

もうこれで会えない気がするんだ。押し黙っていれば彼も多分もう会えないだろうな、そんな気がすると笑った。最後の最後まで酷い人だ。そんな後ろを向いて消えちゃうなんて。

「これ、戻ったら直ぐに開けるぞ」

そう取り出したのは私が渡した巾着袋。あんなに見たがっていたのにまだ見ていなかったんだ。

「我と居たのは一時の夢、良い夢だったな花子、貴方はここで幸せに生きるのだ」

「やだっ!やだあっ!!」





「花子殿…」

そして彼は消えた。

その間ずっと私の腕を掴んでいた白兵くんの手を離せば赤く痣が出来ていた。痛々しい。

「あ…」

「白兵くんにDVされた、はは」

乾いた笑い声しか出てこない。

さっきまでそこに立っていた人がいない、ちゃっかりと洗濯したばかりだと言っていた赤いフワフワもちゃっかり持って行ったようだ。何も残ってないじゃないか。

最後の最後になんだあれ、来世で会えたらなんて……絶対あり得ないんだからさ。


「ふーん、中々やるわね坊や」

そう言った湊が白兵君の肩を叩いたのが見えたけど今はその行動について触れる事ができなかった。

何で鳳凰さんは私を置いてっちゃったの、私が好きとかさ言ってた日々は何だったんだよ馬鹿。


「鳳凰殿……」

最後に錆が見たのはこちらの方を向き口を動かす鳳凰殿の姿であった。

唇を噛めば苦い鉄の味がした。


花子殿は鳳凰殿が好きなのだ…拙者に何をしろというのでござるか。



(頼んだぞ、なんて拙者とていつ消えるか分からぬと言うのに)
(comment*☆.)


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