■ おネェとの初絡み。




「やーだーもう!可愛いじゃなあーい!」


例えるならば獲物を問い詰めたハイエナのような感じだろうか。あの二人が怯えている。こんな事があって良いのだろうか、もしかしたらこのおネェはあのチートのお姉様よりも強いのではないのか。

「だ、誰だ貴様はっ、男ならば男らしく話せ!」

白兵くんに至ってはまったく喋らないし、ビクビクしている。もう止めてやってーと仲介に入るべきだろうか。否、めんどくさい。

「やーだ。わたしはわたしよ、止めないわー」

それにしても、と口にした彼はどれもわたしのタイプっ食べちゃいたいわーんなどと更に怯えさす原因を作ったのでとりあえず誰も座っていないソファーへと強制送還させてもらった。

「そういえばあんた洗濯物干しっぱって言ってなかった?入れてきなさいよ」

ほらほらーっと催促する彼に多少の違和感を覚えたが早く入れなければ湿ってしまうとベランダに向かった。




「んで、あんたら花子の事好きなんだよねぇ。そんな細い体で守れる訳?」

足を組み上目線からものを言う。
その姿はまさに男、なのだがさっきから女口調で喋っているしと二人の頭の上にはハテナが浮かんでいた。

「こうみえて我は忍集団の頭だ。甘く見て貰っては困るな」

「へーふうん、じゃあそっちの可愛い顔したお兄ちゃんは?あたしらより全然若いわよね」

「せ、拙者はこれでも剣の道では日本最強とうたわれているでござる」


い、意外とやるじゃないと珈琲を口にした彼は花子が戻って来ないのを確認する。足を組み直し二人を見ればでも、とニヤリ微笑む。

「泣かせたらあたしが成敗するわよー」

そう囁いた彼にはきっと力量はない。しかしその唇を舐める姿に何故だか空気がぴりぴりと肌を刺激し更には背筋がゾッとしたのだった。

「それとあたしは許さないから」

「中途半端に幸せにするーって言う奴」


口調がオカシイ事に気づいた時には既にもうペラペラと普通にしゃべり始めていた。

あんたらいつ帰るかも来れるかも分からないのにもう結婚に乗り遅れた可哀想な花子
をたぶらかすのはやめて欲しい。とりあえず両想いになったとしよう、残された彼女はどうなる?考えてみりゃ分かんだろ、寂しい思いをさせて一生独り身でいる可能性だってあり得るんだよ。

「あの…言葉遣いが…」

そう錆が口にすれば、職業柄おネェっぽくしてて私生活もこれで慣れてしまったらしいがたまに出ちゃうのよねー。らしい。



「まさか、お主も…」

「やだ!それはないなーい!」

高校生からずーっと親友だからもう家族って感じー?それに男が好きよと舌べろを出しおちゃらけているが本当はどうなのか鳳凰はまだ信用しきれていなかった。

「本当だってば!」


−−ガラガラ

ベランダに洗濯物を取り込みに行った花子が帰って来ると湊は直ぐさまベタリとくっつきその様を見た鳳凰は怪訝な顔をして黙って見てい、錆はまだ頭の中で色々と考えているようだった。

「おっかえりー、で?どっちをあたしにくれる感じー?」

「うーん、じゃあ鳳凰さん」


ピシリと固まる鳳凰がふふふざけるな!っとどもりながら大声で否定したのが部屋に響き渡った。アパートなんだから静かにしてよね。


この時、錆が少し嬉しそうに口元を緩めたのを見たのは湊しかいない。



(我は花子と…いや本当はどうしたいのだろう)

(あらやだこの白い子可愛いわね)
(comment*☆.)


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