■ 肩のぬくもり。
負けた、負けました。
まさか負けるとは思っていなかった。だけど今思えば私が言った"負ける気がしないわ"って言葉、死亡フラグじゃなかったのかな。あはは、はは。
「さあ片付け片付け、我は残りのアイスを食べようかな」
「花子殿、その…負けは負けでござるな!」
「くくく、やはりな」
うわ、くそ、みんな嬉しそうな顔しやがってえ。しかも白兵くんまで!誰が養ってやってると思ってんだ、ばかばかばかばーか!
ぐるりと不忍がこちらを向いてビクリとする。小心者だから。
「錆殿の言ったとおり負けは負けだぞ。いう事を聞いてもらうから覚悟しとくんだな。」
「はいはい、無理な事じゃなければできる限りやりますよ」
「まあこういうのも楽しいだろう」
いきなり何だ、分かってるよ。
ぷりぷりと頬を膨らませ機嫌悪く見せた所で表情は変わらない。あー本当わたし左右田さんに勝ったら絶対仮面の下をわたしだけに見せて下さいってお願いしたのに!!
みんなは机の上を片付けたら罰ゲームを考えるだので自分たちの世界に入ってしまった。
はーあ。息を吐き、背を伸ばして私も立ち上がり寝室に置いたままの携帯を思い出しリビングを後にした。
どこに置いたっけかなー…あ、あったあった。
−−−ガチャリ。
「え?」
扉がしまった方を向けば左右田さんが立っていた。なんだかこの状況。
「何ですか?もしかして、え?え?そんな困りますみんなリビングにいるし…」
「お前は発情した猫か」
そうでは無いと首を振りため息を吐きわたしにベットに腰をかけるように言って自分も隣に腰を下ろした。
「…」
「…」
え?何だろう、何も言い出さない彼を見れば目が合った。どきり、心臓がなる。目が合ったと言えば仮面をしているのにそんな馬鹿なって感じだろうがふと見たらこっちを凝視していたんだから絶対目が合ってる。
「なっ、なんですか」
「意外と寂しいとか思ったりするんだな」
「え…」
「心配せずとも大丈夫だろう。他の二人もお前以上に大切に思い、離れるのを恐れている」
そう言うと私の肩をポンと叩き腰をあげ部屋を出て行ってしまった。
まだリビングには帰れそうにない、携帯は見つかったし用もないんだけど…溜まった涙がポトリポトリと膝に落ちて止まらない。まばたきするの我慢してるのにな…。
「あーあ……苦しい」
-寝室近く-
(ー!左右田殿…花子に何を言った、余計な事を言っていないだろうな)
(別に…だが今は中に入らない方が良い)
-リビング-
(拙者…花子殿を一人残して悲しませる事は決してせぬ)
みんな気づいていた。
花子が皆でババ抜きをしようと言い、そして寂しい顔をしていたのを。
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