■ 空気の異様さに。
オムライスを作った。
もぐもぐと口を動かすこの異様な風景。誰もが振り向く大人二人に美少年、私は早くオムライスを完食し席を離れる。洗い物をしていれば次々と食べ終わった食器を持って来てそれを洗う。
「ご馳走様、食べた事のない味だったが美味しかった」
「そ、それはどうも」
ポッときっと漫画やアニメのように頬が染まっただろう。そう、前も言った通り私は待ち望んでいた、この人が来るのを。しかし、白兵くんを見た時に思ったがやはり実物は更に素敵過ぎて自然に接する事が出来ない。
「か、格好いい」
「ん?」
やべえ声に出てた。いえ何でもありませんとだけ返して皿を洗う。いやでも本当に声やばい、なんだこの声は死ぬほど格好いいじゃないか。
ちらりと左右田さんを見ればにやりと笑ってそのままソファーのある方へ歩いて行ってしまった。
「………死ぬわ」
内心ドキドキが止まらなかった。
背え高い、声低い肌きめ細かいいい臭い。
もう一度ちらりと見れば目の前には白兵くん、私は少し気まずく目を逸らし笑う。
「あ!洗い物?そこに置いておいてね」
ガタリと食器を置いた白兵くんはそこに立ったままで動こうこしないからどうしたの?と言えば、手伝うと言って布巾で洗った食器を拭き始めた。
「あ、ありがとう」
「お礼は不要でござるよ」
いつものように笑う白兵くんは何だかさっきの告白が無かったかのようで、私も安心した。
そんなつかの間、耳に近づく唇。
ソファーやまわりでテレビを見ている人からは見えない。
ぎゃああああ、この人なにしてんの!?白兵くんそんな事する子じゃなかったでしょうが!!
「拙者は諦めないでござるよ」
花子殿が振り向いてくれるまで。
私はとんでもない男の子に好きになられてしまったようです。
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