■ あれ?誰?
んで?白兵くんは、と熱い顔を団扇で扇ぎ落ちつかせた所で腰を上げ白兵くんに詰め寄った。鳳凰さんは止める様子も一切なくたのしそうに見ている。
さぁ、さぁ、おねいさんに教えてごらん?
「拙者は、その…」
赤らんだ顔を背ける白兵くん、いけない事をしているみたいでドキドキする。年下の白兵くんだからこんなやらしい気持ちになってしまうんだ。きっと、私だけじゃない。
そう背徳感に襲われながらもずいずいと耳を白兵くんの顔に寄せる。
「花子殿っ」
焦ってる焦ってる、これなら時間の問題だなと微笑むと帰って来たのは意外な言葉。
「せ、拙者は全存在を剣のみに掛けてきた身の為、その…」
それって、まさか…いやこの顔でまさかね、そんな筈ないよ。
そう自分の中で考えていたものの、鳳凰さんはずばりと言い当ててしまった。
「………っ」
更に顔を赤くする白兵くん。
やはりそうなのか、と染み染み白兵くんを見れば涙目で落ち込んでいる。
死ぬ、私死ぬ、やっぱり今日私は死ぬんだ。この心臓はもうもたないと思うんだ。
「白兵くん、ごめん」
私は膝立ちになり白兵くんの頭を抱き締めた。そりゃあもう、ぎゅーっとだ。白兵くんがここへ来てからのずうっと押し溜めた欲求を私は今日爆発させた。
「なななな何をっ!?花子殿っ!」
「もう、可愛いくて可愛くて我慢出来なくて。むしろ私が貰いたい、君の…」
「その発言待て」
鳳凰さんはわざわざ私の上から抱え遠く離れた所に座り説教だ。父親のような言葉の数々に飽き飽きしていたが所詮この人も酔っているのだ。
遊んでやれっと喉が渇いたでしょう?と酒の入ったグラスを渡す。そうかそうか、ありがたくとグラスを持つ鳳凰さんににやける顔を抑える。
おっとっと、笑ったらバレしまう。ぷぷぷ
「え?」
何故か頭を抑えられ、鳳凰さんのグラスから口に含んだ筈の酒が喉を通ってくる、ヤケドしそうなほど喉が熱い。
こいつ、口移ししやがった…
大量に押し流されたそれに慌て蓋めく白兵くんの声と、零れた酒を拭う様に口元を厭らしく舐める鳳凰さんの姿をボヤけた視界と脳で認識出来たのはここまで。
私のブレーカーは完全に落とされた。
チュンチュン、小鳥のさえずりが聴こえてくる。頭が痛い、ああそうだ昨日お酒を皆でのんだんだった。
むくり、身体を起こすと机に突っ伏す白兵くん。ソファーにちゃっかり鳳凰さん。
それと…え?誰?
私の隣に眠っている見知らぬお方。
また増えましたか?
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