■ この歳まで信じていて良かった!!
ちょ、私の部屋に誰かいる。
仕事から帰ってきて電気を付けようとしたその時、もそもそ動く人影にギョッとした。
驚きすぎてコンビニで買ったビールとつまみが入った袋を落としそうになった。危ね、てゆうか嘘だろ、泥棒にはいられた所でうちには何もない、見つかったらヤバいぞ警察呼ばなきゃ警察。
「誰だ貴様!」
てめぇが誰だよ!
泥棒のくせにムダに良い声してんな。
ええい、こうなったら攻防戦じゃい!昔、修学旅行で買ってしまったこの昨日酔っ払った勢いで掘り出してきてそのまま立てかけてあった木刀を構える。
とりあえず、買った後の学校での休み時間に自分への木刀のお土産が被った友達との遊びにしか活躍していないこいつにもやっと本来の使われ方がされたと言う訳だ。良かったな。
パチリと電気をつける。
「は?え、ちょ、」
目の前にいたのは紛れもなく昨日DVD借りてニマニマとお菓子を食いながら見ていたアニメのあのお方ではないか、目を擦るが幻ではない。
完璧なルックス、鍛えられた胸元がチラリ、白く長い糸の様な髪の毛。
錆、錆白兵だ…まじ本物だ。
これが偽物だったら逆に恐ろしい。こんなに完璧なルックスってありなのか?怖い!二次元って何でも出来ちゃうから怖い!
「貴様…ここは、何処だ」
ぎりり、と奥歯を噛むあたりやばい。めちゃくちゃ怒っている。冷静でいられているこっちも変だが。
てゆうか…ほんと格好良いなこの野郎。
「ここ、何処だと思います?」
拙者を愚弄するか貴様!と刀を抜くこの方にどう説明したら良いのだろう。説明する前に私が死んでしまいそうなんだけど。
「いやっ、落ちつきましょうっ、害は加えません。えーと、お茶でも呑みながらゆっくり話しましょうよ」
長くなりそうですし、ほら!と木刀をポイと捨て食卓の椅子を引いた。少しは落ち着いたのか刀を抜くのを止め様子を伺いながら椅子を触りながら席に着いた。
そうか、椅子なんてあの時代にないのか。そういえば、白兵さんて何歳なんだ?私より完全に歳下だよな、大人っぽいから一見分からないけど。
後で色々携帯で調べてみよ。
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私の言っていることが理解出来ないのか口を魚の様に開け閉めしている。
「それは…誠でござるか」
あたりをきょろきょろ見回し見たことないものばかりなのであろうその光景に私の話を信じたのであろう、頭を下げた。先程は気が立っていたと。
そりゃそうだ、私だっていきなりトリップなんてしたら(嬉しいけど)半狂乱する。
いつか帰れるよ。来れたんだもの、と言うと唇を噛む青年はさっきよりも幼く見えた。む、可愛いとこもあるじゃないか。
「それまでは、ここにいて良いよ」
役得、役得!
神妙な面持ちで言ったものの、嬉しくて堪らないこのゲスな気持ちどうしよう!私のバカバカ!
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