■ 怖い夜にはお供を一人。




「白兵くん、白兵くん」


ちょっとお願いがあるんだけど、と彼を見ると納豆を混ぜる手が止まる。鳳凰さんは朝早くから散歩に出掛けた。最近の流行りなんだってさ。深夜も散歩に行くのに頭おかしいよね、私だったら寝ていたい。

首を傾げる白兵くんに今日会社まで迎えに来て欲しいの、とお願いをした。

「最近ね、なんだか後を付けられてる気がして…あ!木刀だったら持って来て良いからね」

お願いできるかなぁと言えば、納豆を机に置き立ち上がる。

「勿論でござる…がしかし何故もっと早くに拙者に言わないのでござるか…もし花子殿に危害が及んでいたらどうするつもりだったのだ!」

強い目で見られる。うう、ごめんなさいしか言えない。いつも敬語な白兵くんが通常の言葉になると迫力がある、私はごめんなさいと俯いた。

「いやっ…拙者も取り乱してしまったでござる、申し訳ない」

そう言って席に座り納豆を混ぜる、地図書こうか?と言えば首を振る。

「前に花子殿と遠出した際に会社の前を通っているので大事ないでござる」

それに拙者も良く散歩がてら通るので覚えているでござるよ…とついでに白兵スマイルを頂いた。この笑顔は他の野郎とはひと味違う、白兵くんの微笑みは静かに瞳を伏せ少し口角が上がるのだ。どこぞのTVで騒がれているジャニーズボーイ達や俳優よりも全然格好いい!胸がきゅんきゅんするよおおお、しかも覚えていてくれたのね嬉しいな。

けどね、みんな結構滞在期間が長いからって勝手に家出過ぎなんですよね。


「迎えは何時ぐらいに…」

「じゃあ6時くらいにお願い出来るかな」

「承知致した…拙者がお護りします故、心配などござらん」

だから、いってらっしゃい。
と静かにいう彼の言葉に安心した私は大きく頷き行ってきますと言って部屋を後にした。







そんな私は、玄関を開け外に出て階段を降りている時に気が付いた。ああ、とニヤける口元を抑える。


「なに私二十歳の子にときめいてんのよ、気持ち悪い!」
(comment*☆.)


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