■ 意外と満足。
そうだそうだ。
そういやあ、洗剤きれてたんだっけ。
ついでに食材も買ってきますかね。
「買い物行ってくるよー」
そう言えば、格闘ゲームに夢中の鳳凰さんは此方を向かずただ手を上げ、その相手をしている人鳥くんはいってらっしゃーいと振り向いてくれる。
白兵くんはと言うと読書から顔を上げ此方をじっと見ている。
ん?どうしたのかな。
「?、行ってくるね」
そう言って玄関の方に向かってサンダルを履いていると誰かの足が見えた。
「あれ、どうしたの?何か買ってきて欲しいものある?」
そこに立っていたのは少しばかり照れて頬をかく白兵くん。
何か買ってくる?ともう一度聞けば、いやそうではなくてと何やら言いたげだ。
ああ、そうか。
「荷物持ち、手伝ってくれる?」
「!…拙者で役に立てる事があるなら」
そう柔らかく微笑む白兵くんに危うく心臓をぶち抜かれそうになった事は言うまでもない。
とりあえず、鳳凰さんが勘づく前に部屋を出よう。
「じゃあ、行こっか」
「承知」
今日はいつも歩く買い物先の道が新鮮に感じた。あーあ、行く先の店のおばちゃんに彼氏と勘違いされて"えー!そう見えますう?だって、どうする白兵くん"なんて会話を繰り広げたいな。
なーんてあるわけないか、歳離れてるしなあと肉屋の前を通り過ぎようとしていたその時、店のおじさんに呼び止められた。
「あらら、花子ちゃんこれまた若い男捕まえたねえ、こっちが彼氏かい?」
「「…え?」」
「ありがとうおじさん。一番高い肉4人分下さい」
「おっ!まいどありっ!」
うん、買うつもりは全然無かったんだむしろ洗剤とまぁ野菜とかレトルト食品とか買っとけばいっか、みたいな感じだったんだけど。
お世辞でも、嬉しかったんだよね。
帰ったら不機嫌な鳳凰さんがドアの前に立っていた。なんだこの、浮気していて、帰ったら彼氏がドアの前に立っていて見つかってしまったみたいな修羅場の感じは。
「って馬鹿馬鹿、ただいまー」
「何故、我を連れて行かなかった」
「荷物持ちは拙者で充分足りたでござる」
「黙れ若僧…」
あーあ、意外とこの生活好きなんだよな。
騒がしい後ろを無視しながら部屋に入り人鳥くんにただいまーとハグをした。
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