■ 僅かな二人きり。
今は鳳凰さんと人鳥くんの二人でお風呂に入らせている。
その間、白兵くんと楽しくお話、のつもりだった。
「拙者は…元の世界に戻り、素直に喜べなかったのでござる」
「私も白兵くんがいなくなって悲しかったけれど」
それはもう、崩れ落ちたからね、若かりしころからの夢が僅か一日で果てたとも思ったしなあ。だけど、なんで?
私はこてんと首を傾げる。
「そのっ、いや、あの花子殿…」
拙者は、拙者は…ともじもじし始めた。本当もう可愛いよなあ、顔完璧だし、鳳凰さんと違って性格いいしさ。
私は風呂上がりの後のビールをさっそく開けて頂いている、うまい。イケメンをみながらのビール、やたらうまいわ。
「うんうんうん」
「先程から見過ぎでは…」
ああ、ごめんねとニヤニヤ笑う私。
絶対はたから見たら…
「気色悪いぞ、貴様」
「なんだよー、もう出てきちゃったの?ほら、人鳥くんおいで」
手招きで胡坐をかく私の膝の上に座らせ頭を拭いてあげる。
「白兵くん、刀を没収させて頂きます」
私は鳳凰さんを勢いよく切りつけた白兵くんの刀をタンスの中にしまった。とりあえず、銃刀法違反とかあるし。
「白兵くんもお風呂、入っておいで。髪の毛乾かしてあげるよ、これで」
ブオオオオ、と唸りをあげる現代社会の女子の見方ドライヤーを人鳥くんに掛けながら笑う。
すると、なんで真っ赤になるのか分からないが顔を赤くした白兵くんは「ししししし承知」なんて少しこけながら風呂場に向かっていった。
本当、二十歳成り立て悶える。
「………貴様は何を考えている」
「うっさい、今和み中の為話掛けないで下さい」
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