■ 楽しい、楽しいお風呂。
次の日の夜。
「人鳥くーん、早くおいで」
私はお風呂のドアを少し開けて人鳥くんを呼ぶ。鳳凰さんが少し人鳥と話があるからと言ったので先に入っていたのだ。
〆
「人鳥、覚えていろ」
「えっ、えっ、あの、鳳凰さまは花子さまの事がお好きなのですか?」
「そっ、そんな事がある訳ないであろうっ、ふざけた事を抜かすな」
「しかし、鳳凰さま」
「………なんだ」
「いつもと様子が違います」
「〜っ早く行け!」
〆
「花子さま」
ドアを開けるとそこは見た事ない物ばかり、湯船は大きくて、#nema#さまが何か捻るとお湯が出てきた。しゃわあ、と言うらしいです。
「花子さまは鳳凰さまをどう思ってらっしゃいますか?」
僕は鳳凰さまが大好きだ、あの方が自然体で女の人と仲良くしている所なんて僕は見た事なかった。花子さまといるとあの方はいつも楽しそうできっとこの方にだけは御心を許しているのだろうなと僕は思った。
だから、僕は。
「僕は、あの方に幸せになって欲しいのです」
僕がいきなりそんな事を言ったものだから花子さまは酷く驚いた顔をしていたけれど、ぎゅうと抱きしめてくれた。
「人鳥くんっ、とっても優しいのね。大丈夫、あの人はいつも幸せそうだから」
胸に挟まれて苦しい。
なんだか話が噛み合ってなかったけれど、柔らかくて、あったかい花子さまに包まれて里のお母様の事を思い出してしまった。
……いつ帰れるのだろう。
花子さまの作るご飯は食べた事もない料理ばかりでしかもとても贅沢で美味しかったけれど僕はお母様に会いたくなって、少し悲しくなった。
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