■ おかえりなさい。
「これ…どうしたんですか?」
机の上には沢山の惣菜やら肉やら魚やら野菜やらが山になって置かれていた。
ソファーに座る鳳凰さんは此方をちらりと見やり重たい腰を上げて歩いてくる。
「あっ、その服って事は今日どっか行きましたね!」
ギクリと肩を揺らす鳳凰さんは少しオドオドと説明しだす。
「我は断ったのだ。しかし、商店街の住人は親切でな、金を持たぬ我に持ってきなと色々な物を持たせてくれたのだ。故に、こんな事に」
商店街には若い娘は居らんのだな、とボソリ呟いてよろよろとソファーに座った。やけにお疲れのようだ。
「鳳凰さん」
私はソファーの淵に顔を乗せ鳳凰さんを見あげる。
「おばさんはイケメンに弱いからね、お疲れ様。ありがとうね」
ふいと顔を背けられた。
反対を向く鳳凰さんの耳が少し赤い。
「いつも世話になっているのだから当たり前であろうが」
まったく、素直じゃないな。
「今日は食べるもの沢山ありますね、嬉しいなー」
そそくさとキッチンへ戻るとまたまた鳳凰さんの声がする。
この距離での会話は毎度の事だ。
「風呂に入ったら肩を揉んでくれ」
「はいはい」
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