やっと愛しい貴方の姿。


ああ、聞仲に揺さぶられたり、黄天化に愛撫されたり。

この人がこんな意地悪をするのは、私が好きだから、私が嫌いだから。


「そんなに良いですか、この姿で犯されるのは」

足を大きく開き覆いかぶさる彼は一体何を考えているのだろう。
ああ、でも、気持ち良くてそれどころじゃない。指を噛み快感に耐える。

「あ…んっ…」

「淫乱ですね、ほんと」

粘着質な音はこの興奮を更に高めるようにこの部屋に響く。

「楊ゼ…んっ…」

「君が欲してるのは僕じゃない、」

−−でしょう?

何を言っているのか分からない、私が好きなのは貴方しかいないのに。
しかし有無を言わせない激しい行為に呼吸は早まるばかりで、でも、貴方の姿で感じたくて。

彼の頬に手を延ばした。


「絶対に、−−には化けてあげません」

花子、これは僕の少しばかりの抵抗なんですと眉間に皺を寄せ、額に浮かぶ汗が私の胸に落ちる。

ああ、きっと勘違いをしている。



「今だけっ…」

息も絶え絶えで私はこう訴えた。

「一瞬だけで良いから貴方に」


それだけで、貴方が好きだって分かるから。身体が勝手に反応するから。

楊ゼンは頬に伸ばした私の手の上に自身の手を重ね姿を変えた。



ああ、やっと私の愛しい貴方の姿。




____________


只の勘違いで犯した楊ゼンのお話。
要するに嫉妬。


「すいませんでした…」

「いーえ、でも最後のが1番気持ちが良かった」

でしょう?と尋ねれば先ほどの威勢は何処へいったのやら顔を染めた。

「……はい」



[ 5/7 ]

[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]



「#ファンタジー」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -