やっと愛しい貴方の姿。
ああ、聞仲に揺さぶられたり、黄天化に愛撫されたり。
この人がこんな意地悪をするのは、私が好きだから、私が嫌いだから。
「そんなに良いですか、この姿で犯されるのは」
足を大きく開き覆いかぶさる彼は一体何を考えているのだろう。
ああ、でも、気持ち良くてそれどころじゃない。指を噛み快感に耐える。
「あ…んっ…」
「淫乱ですね、ほんと」
粘着質な音はこの興奮を更に高めるようにこの部屋に響く。
「楊ゼ…んっ…」
「君が欲してるのは僕じゃない、」
−−でしょう?
何を言っているのか分からない、私が好きなのは貴方しかいないのに。
しかし有無を言わせない激しい行為に呼吸は早まるばかりで、でも、貴方の姿で感じたくて。
彼の頬に手を延ばした。
「絶対に、−−には化けてあげません」
花子、これは僕の少しばかりの抵抗なんですと眉間に皺を寄せ、額に浮かぶ汗が私の胸に落ちる。
ああ、きっと勘違いをしている。
「今だけっ…」
息も絶え絶えで私はこう訴えた。
「一瞬だけで良いから貴方に」
それだけで、貴方が好きだって分かるから。身体が勝手に反応するから。
楊ゼンは頬に伸ばした私の手の上に自身の手を重ね姿を変えた。
ああ、やっと私の愛しい貴方の姿。
____________
只の勘違いで犯した楊ゼンのお話。
要するに嫉妬。
「すいませんでした…」
「いーえ、でも最後のが1番気持ちが良かった」
でしょう?と尋ねれば先ほどの威勢は何処へいったのやら顔を染めた。
「……はい」
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