白い息。
はぁ、と息を吐くと白く染まる。
人間界は冬で白くちらちらと降る雪を手で捕まえたりしてつかの間の休日を過ごしていた。寒いけれど、こんな休みも良いなと川のせせらぎを聞きながら大きな岩に腰を掛ける。
「花子」
私の名前を呼ぶその声の主に振り返る事なく返事を返えす。
「人間界は寒いね」
そう返せば、溜息を付く張圭は私の横へ腰を降ろした。拳二つ分の余裕を開けて座るのが彼らしくてつい笑ってしまった。
「なんだよ」
「別に」
ぷんすかと少し照れている彼はそういえば、聞仲様に会って行かないのか?と口にする。別に人間界に遊びに来たのは聞仲様に会うためでは無い。
「張圭って馬鹿だよね」
ほんと馬鹿と繋げれば何がだよ!と大きな声。立ち上がる張圭に手を伸ばす。
「ん」
「なんだ?」
「起こして」
私の手をハテナを浮かべて取り起き上がらせると、手を離さない私に更にハテナを浮かべた。
私はそんな張圭に意地悪そうに笑う。
「私はこうしたかったの」
たまの休日くらい良いじゃないと言うと一気に顔を赤くする彼に自然と笑みが零れた。
「ねぇ、今日は寒いからこのままで」
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「そうだ、聞仲様のとこ行く?」
「行かない!!」
っていうか行ける訳ないだろと怒られるのもまた私の休日の楽しみ。
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