「はぁ……もうヤダ私の身体はもうボロボロ」
そう呟いてから深くため息をついてずるりと私はベッドからはい出した。 そして未だにベッドですやすやと眠るウェスカーさんをちらりと見て、またため息をついた。
ウェスカーさんはもうおっさんのくせしてハイテンションすぎというか、何というか、とりあえず私に無茶振りをしすぎだと思う。 しかし、惚れたが負けとよくいうように、何だかんだほだされてガツンとウェスカーさんには言えない。いやしかし、
「このままじゃ私が持たない……!」
どうにかしなければ……!
◇ ◇ ◇
「っくぁ〜、おはよ……なまえ?」 「お、おはようございますご主人様ぁ!」 「何、やって、るんだ?」 「やだー!ご主人様の好きなメイドさんじゃないですかぁ〜!」 「なっ、」
作戦その一。 「引いてダメなら押してみろ作戦」 その名のとおり、いつもウェスカーさんの要求やセクハラをいやだと断わっているが、前にウェスカーさんは鼻息荒くこんなことを言っていた気がする。 『そういうふうに拒まれたら最高に興奮する』と。ただの変態である。
そんなんだから、もしかしたら私からコスプレでもしてニャンニャン言ってやれば、変態、いや間違ったウェスカーさんは興奮冷めするんじゃないだろうか、と私は考えた!(考えが安易すぎるとかそんなことは言わないで欲しい!) だからこうやって恥をしのんでメイド服なんか着ているのだけど……。
「顔を真っ赤にしてそんな格好をして攻めているつもりか!?」 「はっ!?」 「最高に興奮するな!!」 「はあぁああぁあ!?」 「よしベッドに行こう今すぐ行こう!」 「い、いやだああああああ!!!」
ボフン、とウェスカーさんにベッドに軽く投げられる。ほげぇとまるで潰れたカエルのような声を出した私の上に、鼻歌をふんふん歌いながらウェスカーさんがのしっと私の上に乗ってきた。
「ちょ、ウェスカーさん!」 「朝からそんな格好をして誘うなんて淫乱になったものだな」 「え、えー…?」
もうノリノリであるこの変態。 どうにかしてこの変態を止める術はないかと頭をぐるぐる回転させるが、全くいい案が出てこない。 ついさっき、作戦その一とか言ってたけど、ぶっちゃけその一しかないし、ああああ、どうしよう!!
「ウッ!ウェスカーさん!」 「ん?なんだ?」 「やめてください!」
ええいこうなりゃもうガツンと言ってやるぞ!だってこれ以上私がたえられない!!
「こういうことばっかするの嫌何ですけどっ!」 「何で?」 「何でって、そりゃ、」 「なまえは私が嫌いか?」 「はっ?」 「私が嫌いで、拒むならやめよう」 「え、な、なんですかいきなり……」
いつもと違った真剣な眼差しで私を見つめてさらりと髪を撫でる。 その赤い目は、少し寂しそうにも見えて……
「いや、嫌いじゃ、ないですよ」 「本当か?」 「はい」 「じゃあ、愛してると言ってくれ……」 「え、あ、愛、してます……」
そんなさみしそうな顔は見たくなくて、恥ずかしいけど、そうボソリと言えば、ウェスカーさんは見たことないくらい綺麗に微笑んで「そうか」と言った。
「はい」 「私も、愛している」 「はっ、はい!」 「とういうことで」 「はい?」 「続きをしよう!!!」 「はいいいいいいいいい!?!?!?」
おしてひいての攻防戦 (いやー『押してダメなら引いてみろ』とはこういう事だな!!) (もうヤダあぁああぁああぁあ!!!)
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間宮様リクエスト 「変態ウェスカーで、気持ち悪いほど接近してくるウェスカーに悩むけど惚れた弱みでガツンと言えない夢主」でした! なまえちゃんがウェスカーのセクハラにどう対抗するか奮闘する様を書くのがたのしくてたのしくてずるずる長くなりそうでした……! ご期待に添えていたら嬉しいです! 間宮様、リクエストありがとうございました〜!
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