あの素敵な彼と出会った時の事はいまでも鮮明に思い出せる。
その日は酷い雨だった。酷い雨だったのに私はとぼとぼと学校から家への帰り道を雨に打たれながら歩いていた。私はお気に入りのかわいい傘を持っていたのに、誰かがパクリやがったから、私は雨に打たれて帰っていた。そのとき、彼が「君は傘をもってないのか?」って私に声をかけてくれて、そして彼は私に「風邪をひいてしまうからと」傘を握らせて、去っていった。
青い瞳に、金色の髪の毛、優しい声。 まるで彼はおとぎ話の中の王子様のようで、私は一瞬で恋に落ちた。 そして、名前も知らない王子様にもう会えないのかと思うと、心臓が千切れそうなほど痛かった。
でもその数日後、私は偶然にも彼が家から出てくる所を見つけた。 しかも私の家からさほど遠くない場所。 ああ、これは運命だと、彼と私は赤い糸でつながっているのだと、そう確信した。
彼の名前はレオン・S・ケネディ。ポストの郵便物で彼の名前を知った。 ああ、名前まで王子様のように麗しい。 お仕事は、朝家をでる彼の後ろをこっそりついていって、探ろうとしたのだけど、なんだかとてもいかつい男が警備をしているビルに入っていって、何の仕事をしているのかは分からなかった。でも、きっと彼のことだから、素敵な仕事なのだと思う。 仕事には毎日行く時もあれば、行かない日もある。それに何日も帰ってこないこともあるし、早く帰ってきたり、遅く帰ってきたりととてもまちまちだ。
今日は、何時くらいに…
「あ、おかえりなさい!」 「…っ!」 「今日は早かったですね!」 「また、君か」
彼に飛びついて、ぎゅうっと腰に抱きつけば、はぁ、とため息が聞こえる。 最初に私がこうしてときは、とっても驚いた顔をして、あわてふためいたけど、最近じゃこうしてため息をついて眉間にしわを寄せる。 ああ、そんな顔も素敵。
「俺の家の前で待ち伏せするのはやめてくれと言っただろう?」 「でも、レオン様に会いたくて!!」 「…、その、様づけはやめてくれ」 「じゃあ、レオン」 「ああ、それでいい。じゃなくて、その、なんと言えばいいか…」
ああ、と額に手をあててもう一度深いため息をつくレオン。 かっこいい。とってもかっこいい。 私は我慢できなくて、ぐりぐり彼の胸板に顔を押し付ける。
「や、やめてくれないか」 「なんで?」 「なんでもなにも」 「私、今日もこうやってレオンに抱きつくのが待ち遠しくて」 「……っ」
すんすん、とレオンのにおいをかげば、彼の汗のにおいと混じって、女ものの香水のにおいがした。
「女の臭いだ。」 「なっ、」 「今日は、女の人と一緒にいたの?」 「そ、そうだ。俺には彼女がいるし、今日はその彼女とデートして来て…、だから俺の事は諦めて」 「嘘はダメだよレオン。レオンこの前女の人に頬っぺたひっぱたかれてたし、この感じじゃ仕事から帰る前に二、三十分女の人と話したくらいだよねぇ?それに、彼女がいたってそんなの知らない。でも、レオンに本当に彼女がいて、だから私がこうやってレオンの帰りを待つのがダメだって言うなら、レオンの彼女を消しちゃえばいいだけだよ」
「でしょ?」とにっこり笑ってレオンにそう言えば、彼は目を見開いて、「そんな…」とうろたえた。私はあははと笑って「嘘だよ」と言う。
「ね?嘘はダメでしょ?嫌な気分になっちゃう」 「君は…、君は何で俺につきまとうんだ?」「えー、今更そんなこと?決まってるじゃないですか。私とレオンは赤い糸で繋がってるんですあの雨の日に出会ったあの時も出会うべくして出会ったんです」 「雨の日…?」 「忘れちゃったんですか?2ヶ月前、酷い雨が降ってて、でも私は傘もささないでずぶ濡れになりながら歩いて帰ってたらあなたが、レオンが優しく声をかけてくれて傘をかしてくれて、それで私、あなたに一目惚れして、もう会えないと思ったのにまた会えてああ運命だってレオンと私は赤い糸で結ばれてるんだって」 「あ、ああ、あの…、それで、君は…」 「思い出しました?良かった。ああ良かった!」
あの出会いを思い出せないなんて言われたら私は発狂しちゃいます。とレオンの胸に頬をすりつけて言う。
「レオンの全てが愛おしいんです。ずっと、一緒に居たいんです。ずっと、ずっと。レオンの声を聞いていたい」 「君は、そんなに俺が好きなのか…」 「もちろん!レオンになら死ねって言われても今すぐ死ねる!!」 「じゃあ、今からいうことを聞いてくれないか?」 「なあに?なんでも聞くよ!」 「まず、俺達はお互いにちゃんと話をしよう。俺は君の事を何も知らないし、名前すら知らない」 「そうだっけ?」 「ああ。君が一方的に俺の事を知っているだけだ。それは、少しどうかと思う。だから、そうだな、俺のことを好きだの、ずっと一緒にいたいだのの前に、まず友達から、初めようか」 「……、はい!!」
過剰な愛で飲み込んで (レオンと友達友達友達友達友達友達…) (と言ったものの、ヤバイ子に好かれてしまった…)
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霜月様からのリクエストでヤンデレストーカーな女の子のギャグな話でした! レオン様はきっとこれからぐいぐい押されて押されてアーってなるんだろうなぁ〜と思いながら書きました。 ヤンデレは初めて書きましたが、楽しかったです! また機会があれば書きたい…! そしてちゃんとギャグになっていたでしょうか…! ご要望に添えてたら幸いです!!
リクエスト企画参加ありがとうございました! ぜひともこれからもストーカーしてください…!! 正座してまっています!本当にありがとうございました〜!!
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